麻倉怜士のデジタル閻魔帳
HD時代のホームシアター作法(1/4 ページ)
フロントプロジェクターと複数本のスピーカーで迫力ある映像とサウンドを楽しむ、ホームシアターには根強いファンが存在する。確かに大画面テレビ(ディスプレイ)での鑑賞に比べると、スクリーンとスピーカーの配置、プロジェクターとプレーヤー、AVアンプの接続など手間はかかるが、それでも映画館のような空気感と大画面を家庭内で楽しめる感動性は圧倒的だ。
デジタル・メディア評論家の麻倉怜士氏もそうした映像を愛好するファンのひとり。自宅シアタールームには150インチのスクリーンを用意し、ソニー「QUALIA 004」、JBL「Project K2/S9500」など最高級の機材で映像を楽しんでいる。最近ではHD映像をパッケージングしたBDソフトも数多く登場しており、HD時代のプロジェクター環境を見つめ直すにはよい時期に差し掛かっているためか、近著「ホームシアターの作法」(ソフトバンク新書)も好調だ。
今回は「HD時代のホームシアター環境」をテーマに、BDソフトやプロジェクター、AVアンプ、スピーカーなど注目すべきアイテムとその理由を挙げてもらった。
素晴らしきBDソフトの世界
麻倉氏: 近年のホームシアター関連製品の品質向上はめざましいものがありますが、まず特質すべきはソフト(BDソフト)に良質な作品が非常に多く登場してきたことでしょう。昨年では「眠れる森の美女」が突出していましたが、今年の作品では「崖の上のポニョ」に注目ですね。
実にジブリ的――アナログ的な感触や筆致を上手に再現――しており、ヒューマンで微細な表現も見事です。一般にMPEG-4 AVCの映像は細部までクリアですが、それが行きすぎると冷たい感じになることもあります。本作品ではそうした方向に行かないよう、実に気を配ってエンコードされています。
BDソフトの販売が本格化してから4年ほど経過していますが、DVDのころも本格化4年後ぐらいで映像・音声ともに良質といえる作品が登場してきました。BDのタイトル数はまだまだDVDに及んでいませんが、作品力が向上してきたと感じました。
過去の名作映画にも、優れたBD化がなされたものが登場しました。例えば「オズの魔法使い」です。これは1939年上映作品のBD化ですが、圧倒的な高品質映像でまった古さを感じさせません。モノクロ映像からスタートし、途中からカラー映像に変わる有名な演出では、その素晴らしさに息をのみます。カラー映像のテクスチャの素晴らしさには筆舌尽くしがたいものがありますね。
元がフィルム作品ですから、BD化に際してはフィルムからのスキャニングを行っていますが、これは8K×4Kのスーパーハイビジョン解像度でオリジナルネガからスキャンされました。そして、取り込んだデータをコンピュータ処理を施し、フィルムのキズや汚れ、退色に対応するとともにコマの欠落までも補修しています。そうした処理によって、BD版の映像は、劇場公開時にも映し出されなかった門外不出の“本物のコンテンツ”といえるものとなっています。
「風と共に去りぬ」のBD版も素晴らしいですね。2004年にNHKが修復版を放送したことがありますが、BD版も大層な出来栄えです。世界的な名作・大作がBD化され、かつ、本来の姿で、ハイビジョン解像度で楽しめる。ここにきて、BDの芸術性が高まったと感じています。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
メルカリ、梨の転売疑惑に「盗品の出品は確認されず」 誹謗中傷には利用制限も
-
2
Anthropic、「Claude Opus 5」公開 Fable 5に迫る性能を半額で――サイバー安全策は緩和、拒否時は自動フォールバックも
-
3
「iPhone高騰」はこれからも続く? 中国CXMTに近づくApple、メモリ競合へのけん制が不発に終わりそうなワケ【後編】
-
4
「ニューロマンサー」実写ドラマ、Apple TV+で2027年1月配信開始へ
-
5
「こんなのに追われたら……」急斜面もやすやす爆走、中国製の車輪付き四足ロボのデモ動画が話題 最高時速20km超
-
6
検索結果に「詐欺ではありません」と表示させる詐欺手口、警視庁が注意喚起 AI要約も餌食に
-
7
海外の新作バカゲー「電車アタック」にマンガ家が感心した理由 ブッ飛んだ内容と完成度の高さ、そして“日本”
-
8
「めっちゃカメレオン」公式Discord乗っ取り 担当者PCがマルウェア感染、管理者が全員BANに 現在は復旧
-
9
暑さ対策が熱い! 「猛暑対策展」で感じた、転んでもただでは起き上がらない日本人のエネルギー
-
10
スーパーに並んだ「ごちゃごちゃ生成AIポップ」が物議 “看板王”こと、きぬた歯科院長「これはアリ」
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR