“Z”の品格――LED REGZA「Z1シリーズ」(前編)(1/2 ページ)
「レグザ第二章始まる。」をキャッチフレーズに、デザインから映像エンジンまで一新した東芝の“LED REGZA”。型番も「Z1」「RE1」「HE1」というように思い切りよく1番として新展開を印象づけ、どのシリーズも新デザイン、新エンジンを搭載するなどスペックの底上げを図っている。しかし、映像ファンを中心に高い支持を得ている“Z”は、ほかのシリーズと何が違うのだろうか。Z1シリーズだけが持つこだわりの機能とは? 開発担当者に詳しく話を聞いた。
――Z1シリーズは、Zとしては初のLEDバックライト搭載モデルとなりますが、前モデルのZ9000のCCFLバックライトとの違い、メリットを改めて教えてください
本村氏: 液晶テレビの進化を語る上では、バックライトの進化も外せません。蛍光管の間はずっと明るさが変わらなかったのですが、ある時点から輝度をコントロールできるようになり、これでかなり画質が向上しました。その後、バックライトのスキャニングが可能になり、さらに映像全体の平均輝度に合わせて、CCFLの明るさをリアルタイムに動かせるようになった。それまでプラズマに対して不利といわれてきた“黒の締まり”といった問題は解消できたと考えています。
一方、バックライトとしてのLEDでは、当初はRGB(レッド、グリーン、ブルー)のLEDを使用する製品もありましたが、ご存じの通り、現在では白色LEDが主流になっていると思います。当初は画質中心でLEDを使おうとしたため直下型が中心でしたが、最近はエッジタイプが主流になり、薄さと省電力にも大きく寄与しています。
われわれは当初からホワイトLEDが中心になると考え、「ZX8000」シリーズや「CELL REGZA」など早くから対応してきました。その考え方は正しかったと考えていますし、技術的なノウハウも蓄積できました。
よく間違えられるのですが、白色は白色でも、バックライトに使っているホワイトLEDと、照明用のLED電球では蛍光体の特性が異なります。この図を見れば一目瞭然(りょうぜん)。しっかりITU-R BT.709(HDTV向けの色空間標準規格)をカバーできています。
住吉氏: この図は、「42Z9000」相当のCCFLバックライトと「42Z1」のLEDバックライトの色再現範囲を重ねたものです。ほとんど変わりませんが、微妙にLEDのほうが赤の再現範囲が広いことが分かると思います。BT.709比では、Z9000が98%に対して、Z1は101%。実際に映像を比較しても、真紅は42Z1のほうが出ます。そして重要なのは、色再現範囲のうち赤近辺は人間の視感度が非常に高いということ。肌色から赤にかけて、違いがよく分かります。つまり、赤の色再現範囲がわずかでも拡大しているということは、映像の印象やインパクトとして、かなり違ってくるのです。
本村氏: もう1つ重要なことは、LEDのほうは電源投入直後から本来の明るさになることです。CCFLでは、最高輝度に至るまで15分から30分もかかります。また、温度によってホワイトバランスは多少異なってきますので、電源投入直後から長く使用していると、ホワイトバランスがシフトしていきます。CCFLとLEDではシフトの仕方が少し違うため、映像の印象が異なることはあります。ただ、そこを含めてチューニングをすれば、どちらであっても狙った色温度や色再現範囲は出せるはずです。
住吉氏: ときどき「LEDモデルは青白い」という声を聞きますが、基本的にそういったクセはありません。ただ、先ほど本村がお話したホワイトバランスに注意していない製品では、電源投入直後としばらく使用した後(温度上昇後)では映像の印象が異なるかもしれません。また、LEDモデルを出すとき、「変わった」というイメージ、あるいは画面が「明るい」といったイメージを出そうと必要以上に意識してしまった可能性もあります。例えば、同じ明るさでもブルーが強いと輝いて見えます。LEDバックライトのテレビが「青白い」と言われる背景には、そうした理由があるのかもしれません。
本村氏: われわれは、ホワイトバランスのシフトにも十分配慮していますし、変わった感を出したいといった意識もありません。LEDもCCFLの高画質化の延長線上にあるものです。
2010年夏モデルのREGZAでは、エリアコントロールが可能なエッジタイプを採用していますが、これは直下型とエッジ型の“いいところ取り”。しかも、それが一般的な価格レンジにまで落ちてきたという状況です。東芝はLEDへの対応が早かったこともあり、ノウハウを蓄積できました。2012年にはCCFLモデルの国内販売をやめ、LEDへ全面的に移行したいと考えています。
――Z1シリーズとRE1シリーズの37V型以上には、同じIPSパネルとバックライトが使われています。両者の違いはなんでしょう?
本村氏: RE1とZ1の絵作りに関しては、若干修正をかけています。RE1はどちらかというと「明るいリビングで視聴するお客様」を想定しているので少し明るめにチューニングしています。対してZ1は、「映像にこだわりをもった方」に向けた、より細かいチューニングを施しています。
例えば、中間輝度より上(明るい映像信号)がきたとき、それを抑え気味にしてでも階調性を重視したセッティングです。結果として、色も若干リッチに見えるはずです。パッと見のキャチーさよりも、じっくりと見ると違いが分かるのが、Z1の絵作り。つまりZ1のほうが階調性や精細感、色再現を“よりHi-Fi”(忠実に)にする方向性です。
住吉氏: 確かに、37V型以上では同じパネル使っているので、基本的には微妙なチューニングの部分が異なります。よりこだわって作っているのがZ1といって良いでしょう。
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