矢野渉の「金属魂」的、デジカメ試用記
懐かしいあの空気感を記録する――ソニー「DSC-RX1」(1/3 ページ)
金属デジカメとしての印象
35ミリフルサイズの撮像素子に、単焦点の35ミリレンズを組み合わせた高級コンパクトデジカメ。それがDSC-RX1(以下 RX1)だ。このコンセプトと25万円という価格は、同じジャンルに分類される国産デジカメの中で頭ひとつ抜けている。発売前に試用する機会を得たので、僕なりの印象をつれづれなるままに書いてみたいと思う。
マグネシウム合金ボディの質感は極上だ。表面処理はライカのブラックペイントに似た重厚感がある。もちろんダイヤル類やレンズのリングもすべて削り出しの金属で、ほぼすき間がないぐらいの工作精度で仕上げられている。絞りリングは適度な反発を指先に残しつつ、間違いなくカチリと止まる。
驚きなのは天面のモードダイヤルと露出補正ダイヤルで、かなりのフリクションがかけられている。意識して力を加えないと回らない構造になっているのだ。僕が過去に使ったカメラの中で最も重いダイヤルだと思う。しかしこれも「誤動作を防ぐ」という意味で、硬質なRX1の印象をより高めている。
このカメラを迷わず購入する人々は、間違いなく写真のマニア、ハイアマチュアに分類されるだろう。それも年齢が40~50代以上の、フィルムの時代からずっと写真を撮り続けているような人だ。だから、古いカメラメーカーがこのジャンルのカメラを作ると、古くからのレンジファインダーカメラのテイストを残した、保守的なものになる。
ところが家電メーカーのソニーがつくると、斬新な発想が出てくるので面白い。
まずファインダーが内蔵されていないこと。別売でシューに装着するガリレオ式ファインダーとEVFの2種類が用意されているが、この本体の中心部に付けるファインダーは、覗くと鼻が背面の液晶に触れて不快なのだ。やはりライカM型のように本体向かって左端にファインダーを内蔵するのが理にかなっていると思う。
EVFでいいから、そこにファインダーを置くことで随分と印象の違うデジカメになったのではないか。ISO25800までの感度を持っているのだから、ポップアップフラッシュを思い切ってなくして、昔ながらの内蔵ファインダーをつけるほうがユーザーは喜ぶと思うのだ。
内蔵フラッシュがあったとしても、写真生活の長い人々の設定は「フラッシュを切る」だ。今見えている光がすべてなのだから。ストロボ光をカメラ側から直接浴びせるなど、屈辱に近い行為に違いない。
もうひとつはメインのダイヤルがモードダイヤルであること。これにはマニアは相当の違和感を感じるはずだ。なぜここにシャッターダイヤルがないのかと。昔のレンジファインダーカメラの良さは、ストラップをつけてカメラを首からぶら下げた時、上からからカメラの情報がすべて把握できることだったのだ。
絞り値とシャッター速度の組合せは写真撮影の基本だ。だからこのふたつの情報は同時に認識できなければならない。RX1は露出補正の値とマクロの切り替えまで上面で認識できるのだから、メインのダイヤルがシャッターダイヤルであれば完璧だったのに、と思う。なにかマニュアルでの露出決定を拒んでいるようにも見えるのだ。
などと好き勝手に個人的な感想を書いてみたが、例えばNEXシリーズのようなデジカメを気に入って使っているような若い世代の人々にとっては、このRX1は何の違和感も無い、好ましいデジカメに違いない。写りは抜群だし、予算さえあれば欲しくなるだろう。なにしろα99と同じサイズの撮像素子で、たったひとつのレンズのために最適化して設計しているのだから、ある意味、メーカーフラッグシップのα99を超えた絵が得られるデジカメなのだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
なぜ酒蔵の許諾なしに? 「VTuberコラボ日本酒」騒動、主催者が経緯説明 仲介者による調整で「準備進んでいると認識」
-
2
かっぱ寿司「配布前のコラボグッズ、フリマで買わないで」 プリキュアコラボ発表日に注意喚起
-
3
「食事量は1日1200kcal以下、でも肥満」な人を14日間追跡調査 痩せない理由は……米コロンビア大などの研究
-
4
本物そっくり“AI生成レシート“が経費精算の脅威に マネフォ「自力で見破るのは難しい」 企業はどう備える?
-
5
「菜の花がおかしい」――イラストレーター制作うたうマラソン大会ポスターに指摘相次ぐ 事務局がAI使用明かす【訂正あり】
-
6
「ペンギンを返して」→「3匹全部採用して」 批判殺到のSuica新キャラ、ファンアートが空気を変えた? SNSの声
-
7
藤井風のリサイタル、公式サイトがインターネット老人会すぎると話題 公民館のチラシみたいだけど東京ドーム開催
-
8
「iPhone Duo」純正ケース話題、「面白いけど高い」……1万4800円と2万4800円
-
9
「ランジェリーパープルじゃない」「買おうと思ってたのに」 iPhone 18 Pro/Pro Maxの色に落胆の声
-
10
松本デジタル相、24.6万件漏えい可能性について説明 「既知の脆弱性を対応前に悪用」
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR