もう1つのソニー製ハイレゾプレーヤー?
アナログレコードをDSD録音でカジュアルに楽しむ――ソニー「PCM-D100」の提案(1/2 ページ)
ソニーの「PCM-D100」は、かつて1970年代の生録ブームで注目を集めた“デンスケ”の系譜であり、現在においては同社製ICレコーダーのフラグシップモデルである。最大192kHz/24bitのリニアPCMに加え、新たにDSD 2.8MHzにも対応し、2種類のハイレゾ録音が行える。販売価格は10万円と高価だが、プロ用ならではの機能美といえるごついデザインも合わせ、気になっている人は多いのではないだろうか。
しかし、開発を担当したエンジニア・橋本高明氏は、ちょっとした悩みを抱えていた。「昨年のオトテン(オーディオ&ホームシアター展)で展示したところ、多くの方に興味を持ってもらいました。でも、『いいんだけど、用途がね』という方が多くて……」(同氏)。
確かに、楽器をやっている人か、野鳥観察でも趣味にしている人でもなければ、生録機を活用するシーンは少ない。そこで橋本氏は、2つの活用法を考えた。
その1つが、アナログレコードを自宅でデジタル化するというものだ。「レコードを聴くときは、ジャケットと袋から取り出し、プレーヤーに載せて針を下ろす。そういった手順も情緒があって良いものですが、普段からカジュアルに聴きたいというニーズもあるでしょう。そこでPCM-D100を使い、SACDと同じDSD 2.8MHzで録音します。一度録音しておけば、DSDディスクにしてプレーヤーで再生したり、ファイルをネットワークプレーヤーで聴くなど、さまざまな形で活用できます」(同氏)。
DSD(Direct Stream Digital)は、音声信号の大小を1bitのデジタルパルスの濃度(濃淡)で表現するフォーマットで、その音質はSACDが実証済み。アナログレコードのような滑らかさとデジタルならではの透明感を合わせ持つと評価されることも多く、アナログレコードのデジタル化にはうってつけだ。事実、アナログレコードファンの中には、以前からコルグ「MR2」などを使ってDSD化を実践している人たちもいる。
実際の手順を見せてもらった。アナログプレーヤーと接続したアンプのアナログ出力と「PCM-D100」のアナログ外部入力をケーブルで接続し、レコードを再生しつつ録音する。ここで橋本氏からワンポイントアドバイス。「録音というとアンプのテープアウト端子を使う人が多いが、テープアウトでは出力レベルが-10dBと低め。プリアウト端子を使い、好みで調整したほうが、S/N的にも有利です。またフォノイコライザーは使った方がいい」(同氏)。
「PCM-D100」では、DSD用とPCM用にそれぞれ独立したA/Dコンバーターを搭載している(PCMはデジタルリミッター用を含めて2つ)。DAC(D/Aコンバーター)のように兼用にすることもできたが、各モードの専用設計として各録音モードに特化した性能を発揮できるように設計したという。またA/DとD/Aの基板を独立させ、“3段積み”として相互の干渉を排除。マスタークロックで同期をとり、それぞれのコンバーターにクロックを分配することでジッターを抑制するなど、徹底して音質劣化を防止している。実際にDSD 2.8MHzで録音したアナログレコードの音についても、「LPの音は、ほぼほぼ再現できている」(橋本氏)。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
メルカリ、梨の転売疑惑に「盗品の出品は確認されず」 誹謗中傷には利用制限も
-
2
Anthropic、「Claude Opus 5」公開 Fable 5に迫る性能を半額で――サイバー安全策は緩和、拒否時は自動フォールバックも
-
3
「iPhone高騰」はこれからも続く? 中国CXMTに近づくApple、メモリ競合へのけん制が不発に終わりそうなワケ【後編】
-
4
「ニューロマンサー」実写ドラマ、Apple TV+で2027年1月配信開始へ
-
5
検索結果に「詐欺ではありません」と表示させる詐欺手口、警視庁が注意喚起 AI要約も餌食に
-
6
「こんなのに追われたら……」急斜面もやすやす爆走、中国製の車輪付き四足ロボのデモ動画が話題 最高時速20km超
-
7
海外の新作バカゲー「電車アタック」にマンガ家が感心した理由 ブッ飛んだ内容と完成度の高さ、そして“日本”
-
8
「めっちゃカメレオン」公式Discord乗っ取り 担当者PCがマルウェア感染、管理者が全員BANに 現在は復旧
-
9
暑さ対策が熱い! 「猛暑対策展」で感じた、転んでもただでは起き上がらない日本人のエネルギー
-
10
スーパーに並んだ「ごちゃごちゃ生成AIポップ」が物議 “看板王”こと、きぬた歯科院長「これはアリ」
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR