本田雅一の「男の白モノ」
ネコ飼い主夫(?)が使って分かった、「Dyson fluffy」の適材適所(2/3 ページ)
ヘッドが変わると、すべてが変わる
”ダイソンの掃除機はよくゴミを吸う”というと、さぞ吸い込む空気の量が多いと思うかもしれないが、サイクロン方式の掃除機はゴミパック型よりも吸い込む空気の量は少ない。ヘッドを外してパイプに手を吸いつかせた時の、吸い付き感でいえばダイソンの掃除機は実のところ大したことはない。
それでも空気をよく吸うと評価されているのは、ヘッドと床の距離が小さく設計されているからだと思う。実際、国産掃除機に比べるとダイソンのヘッドは床との距離が短い。このことでヘッド内の空気流速が高まり、静電気防止機能を備えたブラシでかきだしたゴミを効率よく吸い込む。
なんだ、それなら他メーカーもヘッドの設計をもっと追い込めばいいじゃないかというかもしれないが、そこはなかなか難しい。国産メーカーの設計者にたずねてみたことがあるのだが、あまり床とヘッドの隙間を小さくすると、ヘッドが吸い付いて操作性が落ちてしまうのだ。実際、ダイソンの掃除機にはその傾向が強い(特にキャニスター型で顕著だ)。
また、ヘッドの設計をここまで追い込めるのは、吸い込んだゴミが溜まってきても吸引力にあまり変化がない”ダイソンのルートサイクロンだからこそ”という側面もある。最初から空気流量がほぼ一定と仮定してヘッド設計を行えるからだ。
「DC62」の成功を見てか、よく似たデザインのスティック型掃除機は増えていると思う。その中には交換バッテリーと充電器が付属し、より便利に使えるよう工夫が施されたものもあるが、”吸い込んだゴミの量で空気流量があまり変化しない”特徴も一緒に真似ていないと、なかなかトータルのユーザー体験まではマネできない。
さて、ここまでが一般論。
fluffyヘッドが革新的なのは、バッテリー駆動で動かす本体側の負荷を大きく変えずに集塵率を高められるようにしたことだ。床とヘッドの隙間を狭くする弊害は、操作性の悪化以外にもある。それは粒度の粗いゴミがヘッド下にくぐっていかなくなること。このため、ヘッド全部には適度な隙間が存在しなければならない。
そこでfluffyヘッドでは、柔軟性のある大きなローラーでゴミを巻き込み、ヘッド内に引き込むよう設計されている。”猫砂”がその典型例として紹介されることが多いが、子どものいる家庭ならば、お菓子の食べこぼしなどもfluffyヘッドが見事にヘッド内に巻き込んでくれるだろう。
では、そうした粒度の粗いゴミだけのためにfluffyヘッドがあるのかといえばそうではない。前述の説明を思い出せば分かる通り、fluffyヘッドならばゴミの粒度を気にせず、狙い通りの空気流速になるようヘッドを設計できる。
このため掃除機本体部の性能は同じでも、細かなゴミを含めて床からのゴミのピックアップは、「DC62」よりも「DC74」の方が高い、と実際に使っていて感じる場面が多い。だが、それゆえに操作性に関しては「DC62」の方が軽快ではある。
鬼門は”カーペットの部屋”
「DC74」はヘッドの性能や機能を高めることで、(簡単にいえば)ゴミをよく吸う掃除機になった。そうした意味では「DC62」の上位モデルといえるが、しかし「DC62」を1年間使ってきた筆者の感覚からすると、上位モデルというよりも”得意分野の違い”という印象を持った。
同じ吸引強度で動かした場合でも、「DC74」は「DC62」よりも強力で、床でもカーペットでも、サーフェスを問わずによくゴミは拾うのだが、ピッタリなめらかな継ぎ目のない床などだと、ヘッドが吸い付き過ぎて扱いづらい面もある。
両製品のヘッドとも関節部はよく動き、クルリとヘッドを回しながら壁際も楽に掃除できるが、比較するとやはり物理的な重さ、大きさと吸い付きの強さが気になる。床面であれば、それも”集塵力の違い”と考えて納得できるが、カーペットの掃除ではローラー部の摩擦が強いためか、少々、腕にかかる負担を意識するようになる。
すべては集塵能力のため。ゴミを吸い込むことこそが掃除機の本分。そう考えるならば、「DC74」がベターな選択であることは間違いないが、かといって「DC62」の能力が大きく下回るわけではない。
今どきの日本の家庭を考えると、洋室・和室が混在し、洋室も床とカーペットが部屋ごとの目的に合わせてに施工されていることが多いと思う。もし、畳や床が多い住環境ならば、「DC74」は良い選択肢になるだろう。前述したように子どもの食べこぼしなどが多い場合など、粒度の大きいゴミが多いならなおさらだ。
しかし、あまり大きなゴミは出ないとか、床全面がカーペット施工の部屋ばかりなんだよなぁ、といった場合には、あえて「DC62」を選択しても良いのではと思う。もちろん、両方を買って使い比べるわけにはいかないだろうが、結果的には「DC62」の方が高い満足度を得られることもあると思う。
価格差も小さくない2モデルだけに、ユースケースを見直しての選択をお勧めしたい。ツール(ノズル)を細かく使い分けたい人なら、「DC62」にするとコンプリートモデルに手が届く……といった判断もあるかもしれない。
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