山本敦の「体当たりッ!スマート家電事始め」
目指したのは“スマホ画面”に依存しないコミュニケーション――ソニーモバイル「Xperia Ear」に迫る(4/4 ページ)
プロジェクターやカメラに広がるXperiaのスマート商品群
ソニーモバイルは他にもXperiaのスマート商品群の試作機をいくつか発表している。それぞれにまだ詳細は明らかにされていないが、コンセプトの一端を近藤氏からうかがうことができた。
「Xperia Eye」は、ユーザーがキーホルダー(カラビナ)やクリップを使ったり、ストラップで首から吊して身に着けるウェアラブルカメラだ。ウェアラブルカメラ自体は今どきそれほどめずらしい商品カテゴリーではない。むしろカメラに手を添えてシャッターを切らないと、狙った写真が思うように撮れない、不要なファイルばかりが増えるといった使い勝手の悪さを敬遠する向きもあるほどだ。Xperia Eyeはウェアラブルカメラに対するユーザーの不満を、水平360度/垂直180度の球面レンズを搭載することで、ユーザーの正面にある風景をまるごと撮れるようにして、解消する使い勝手を狙っている。
さらに「インテリジェントシャッター」と呼ばれるアルゴリズムにより、被写体の顔を認識して最適なタイミングでシャッターを切ったり、周囲の音声レベルを感知して、盛り上がっているシーンを動画で撮る機能も開発が進む。撮影された写真に含まれる人物、ブレや画角も含めて出来映えを評価しながら不要と思われる写真はソフトウェアのアルゴリズム処理により自動で削除する機能も取り込む。この辺のアルゴリズムはソニーのサイバーショットのチームとの共同開発を進めながら練り上げている段階だという。近藤氏は「ユーザーが撮影時にもファインダーから“Look up”できるようなデジタルカメラをつくることで、家族とのリアルなコミュニケーションをサポートしていきたい」とXperia Eyeの開発意図を説明している。
「Xperia Projector」は、本体にソニーが独自開発する1366×768ピクセルの液晶ディスプレイデバイス「SXRD」を採用する超短焦点ポータブルプロジェクターだ。内蔵する赤外線センサーで手や指先の動きを検知して、投写された映像上のオブジェクトに対してタブレットの画面のようにタッチ操作ができたり、内蔵カメラでユーザーの顔を認識して、家族それぞれにパーソナライズされた情報を表示する機能、あるいはジェスチャー操作、声認識による入力インターフェースなどが検討されている。本機が目指す完成形も、映像機器でありながらコミュニケーションデバイスであるという視点に注目したい。
例えば、プロジェクターとカメラを同時に活用しながらビデオコールを楽しんだり、家庭内のホームアプライアンス機器をつないでエネマネ・セキュリティのモニターとして活用する方向性も示されている。本体はスマホとのペアリングを必ずしも必要としない、スタンドアロンで使う製品として構想されている。もちろんスマホにペアリングしてBluetooth経由で映像や動画を転送して表示するような、現在ソニーから発売されているポータブル短焦点プロジェクター“Life Space UX”「LSPX-P1」のような使い方も可能になるようだが、本体に内蔵ストレージを入れてコンテンツが保存できるようになる形態も検討されているようだ。プロジェクターにSIMカードを入れて、LTE通信でビデオ通話やインターネット動画が再生できるようになったらさらに面白そうだ。
「Xperia Agent」は音声認識による操作に対応する多機能パーソナルアシスタントだ。現時点ではそのポテンシャルが最も謎に包まれているコンセプトモデルだが、現段階では暫定的に「インフォメーション」「コミュニケーション」「ホームコントロール」という3つの使い方がイメージされているようだ。
本体のデザインはアタマとカラダに分かれていて、電源を入れると2つの目に見立てたLEDが白く点灯する。可愛らしい仕草でアタマやカラダも回転させる。MWCの会場ではお披露目されていなかったが、今回の取材ではXperia Agentがしゃべりながら自己紹介するデモンストレーションも体験できた。
本機にはXperia Earと同じ世代の音声認識エンジンを、本機の使用用途に最適化した形で積まれるようだ。天気予報や交通情報などのインフォメーションを発話したり、カラダの部分に搭載されているディスプレイに表示して知らせてくれる機能が検討されている。またカラダの部分に搭載するレーザープロジェクターを使って、より大きな画面をテーブルトップなどに投写してインフォメーションや写真を表示することもできるようになりそうだ。スマホとペアリングして音声通話をサポートしたり、宅内のホームアプライアンス機器のコントロールセンターとしての機能開発も進められている。
本当にスマートなコミュニケーションのあり方を再定義するXperia
近藤氏はソニーモバイルが開発を進めるスマート家電の方向性について、「コミュニケーション」であると明言する。「使うユーザーに寄り添いながら、生活を便利なものに変えていく、新しいコミュニケーションのスタイルを提供することがXperiaシリーズのスマート商品群の役割です。スタートアップ的に思いついたものをバラバラ出しているのではなく、新しいコミュニケーション像を明確に描きながら、インテリジェンスを具現化する商品を提案していきたいと考えています」(近藤氏)
Xperia Earを皮切りに、発表されている3つのコンセプトモデルも次々と商品化が実現されることになれば、ソニーモバイルが考える新しいコミュニケーションの具体像もよりはっきりと見えてくるだろう。この10年の間にスマートフォンが普及して、私たちのコミュニケーションの手段はもう既にかなり便利なものになっていたように思う。しかし、ふと立ち止まって考えると、私たちは逆にスマートフォンの画面の中での出来事に心を奪われてしまい、リアルなコミュニケーションの可能性を閉ざしてしまっていたのかもしれない。もう一度、コミュニケーションの原点に立ち返って、なにがスマートなライフスタイルなのかを考えさせてくれるような、新しいXperiaシリーズの提案に期待したいと思う。
※記載内容に一部誤記があったものを修正しました。また誤解を招く可能性がある表現を分かりやすく書き換えました。(4/4 12:54)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
体当たりッ!スマート家電事始め
スマート家電の機能を使いこなせるようになれば、私たちの生活は豊かなものになるのだろうか? 実際の製品に可能な限り触れ、体験しながら、読者目線に立って攻略法を見つける新連載。執筆はAVライター山本敦氏。
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
メルカリ、梨の転売疑惑に「盗品の出品は確認されず」 誹謗中傷には利用制限も
-
2
Anthropic、「Claude Opus 5」公開 Fable 5に迫る性能を半額で――サイバー安全策は緩和、拒否時は自動フォールバックも
-
3
「iPhone高騰」はこれからも続く? 中国CXMTに近づくApple、メモリ競合へのけん制が不発に終わりそうなワケ【後編】
-
4
「ニューロマンサー」実写ドラマ、Apple TV+で2027年1月配信開始へ
-
5
海外の新作バカゲー「電車アタック」にマンガ家が感心した理由 ブッ飛んだ内容と完成度の高さ、そして“日本”
-
6
「めっちゃカメレオン」公式Discord乗っ取り 担当者PCがマルウェア感染、管理者が全員BANに 現在は復旧
-
7
「こんなのに追われたら……」急斜面もやすやす爆走、中国製の車輪付き四足ロボのデモ動画が話題 最高時速20km超
-
8
暑さ対策が熱い! 「猛暑対策展」で感じた、転んでもただでは起き上がらない日本人のエネルギー
-
9
検索結果に「詐欺ではありません」と表示させる詐欺手口、警視庁が注意喚起 AI要約も餌食に
-
10
スーパーに並んだ「ごちゃごちゃ生成AIポップ」が物議 “看板王”こと、きぬた歯科院長「これはアリ」
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR