チケット1枚“数十万円”のケースも……高額転売を撲滅せよ 「顔認証」はライブイベントを変えるか(2/3 ページ)
「良席」「神席」を“売らせない”ために
テイパーズは、アーティストのファンクラブ運営やチケット業務など、エンターテインメントの裏側を全面的に支える「音楽業界の裏方」(冨澤さん)。多くのアーティストの活動を支える中で、ネットの発達とともに大きな問題として認識し始めたのが転売の横行だ。昔から「ダフ屋」としてある程度の規模で転売市場はあったが、オークションや2次流通サイトの台頭で、一般個人がお小遣い稼ぎの感覚で正規購入したチケットを転売するケースが目立つようになってきたという。
チケットが完売していれば興行側の収入は変わらないのでは――という疑問に対し、富澤さんは「ライブやコンサートは既存のファンだけでなく、新たなファンを作るチャンスでもある。価格が釣り上がる心理的な抵抗や不公平感だけでなく、ビジネスとして見ても長期的には不利益につながる」と危機感をあらわにする。
「主催者は若いファンや遠方のファンにも来てもらいやすいよう、少しでも手に取りやすい価格で販売しようと努力しているのに、お金がある人しか見られないものになってしまったらその思いが水の泡。本当に見たい人にチケットが届く仕組みをなんとかして作りたいという意識は今も昔も変わらない」(冨澤さん)
転売市場で、ステージや花道に近く「良席」「神席」と呼ばれる座席チケットが正規価格よりも高く売買されるのは、その席に価値があるからだ。座席が当日まで分からなければオークションで売買が成立しにくいはず――そんな発想から生まれたのが、入場時に初めて席が分かる「当日発券」の仕組みだ。
当日発券用のチケットには管理番号やQRコードだけを印字するため、チケット単体で優劣が付かず、オークションでも価格が比較的高騰しにくい。ICカードや電子チケットと併用すれば、チケットレスに近い入場も可能になる。
当日発券は転売防止や利便性向上に役立つだけでなく、コンサート運営側にとってのメリットも大きいという。ライブやコンサートでは、会場の状況などによって開演直前にステージや座席の構成が変わり、ある座席が予期せず「見切れ席」(ステージや出演者が見えにくい席)になってしまうケースもある。配券するのが当日ならば、座席図面がない状態でも人数を基準にしてチケットを販売でき、直前に変更があっても柔軟に対応できる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
メルカリ、梨の転売疑惑に「盗品の出品は確認されず」 誹謗中傷には利用制限も
-
2
「こんなのに追われたら……」急斜面もやすやす爆走、中国製の車輪付き四足ロボのデモ動画が話題 最高時速20km超
-
3
検索結果に「詐欺ではありません」と表示させる詐欺手口、警視庁が注意喚起 AI要約も餌食に
-
4
Z世代に聞く次の流行、「AIイラスト」が1位に 「Claude Code」も上位
-
5
はてな、11億円流出の調査報告書を公開 偽警察、口外禁止、残業・休出200時間超、孤立……ほころびが連鎖
-
6
東野圭吾さん死去、Xなどで追悼相次ぐ 「ガリレオ」など数々の人気作、エンジニアから転身
-
7
NVIDIAやMicrosoftなど30社超、オープンAIの防御ツール共同開発の「Open Secure AI Alliance」設立
-
8
「あ、その情報メモしたい!」を叶えるワイヤレスイヤフォン、Nothing「Ear (3a)」
-
9
有識者はGoogleやX、Meta、ドワンゴを名指しで批判……総務省、偽広告や誹謗中傷に発信・拡散前の対策求める
-
10
「痺れるほどにミスを繰り返す」Gemini 3.6 Flashは変わった? 公開から1週間、当初のおバカ回答を今検証する
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR