全寮制で“缶詰め”状態 東大受験専門「N塾」の狙いは──カドカワ川上社長に聞く(3/3 ページ)
「未来のエリートを育てたい」
充実した設備や講師陣をそろえている一方、N塾の利用費は月6万円(受講費、寮費、食費、光熱費含む)と安価だ。N高自体の学費も、国が負担する「高等学校等就学支援金」の支給を受ければ3年間で29万3912円と、1年平均で10万円を切る(学費シミュレーションより)。ビジネス面では厳しい状況に見えるが、川上会長は、N高やN塾の取り組みに希望を感じているという。
「ドワンゴはもともと社会に適合できない社員ばかりだった」――カドカワ傘下になったドワンゴの会長でもある川上社長は、N高とN塾のルーツをそう話す。川上社長によれば、ドワンゴでは、エンジニアの才能はあっても会話能力が低い“ダメな人間”も少なくなかったが、彼らが事業を成功させてきたという。
「同じように、世の中にはいくら能力があっても周囲から“ダメ人間”と思われている子がたくさんいる。そういう子たちに正しい機会を与えたい」。たとえ才能があっても、テストの結果や偏差値から「君にはこの志望校は無理だ」と言われたり、金銭的な事情から塾などに通えなかったりする子どももいる。N高やN塾では、さまざまな課外授業や予備校を通じてチャンスを与え、「未来のエリートを育てたい」という。
川上社長は「現状の教育は”理想” を生徒に押しつけている」とも指摘する。「『努力次第で無限の可能性がある』と理想を話しても、生徒には届かない。大学受験に成功したり、きちんと就職したりといった“現実”をN高では提供する」。そのために手段を問わず「とりあえずこれだけやれば、少なくともこういう結果になる」と、結果が付いてくる道筋を生徒に示したいという。
だが、子どもがどんなにN高に通いたいと思っても、実績のない高校への進学を保護者が許すとは限らない。川上社長は「分かりやすい方法のひとつとして東大合格者を出す。それも、東大に行く可能性が低かったであろう子が合格できれば、説得力がある」と意気込む。
「N高によって救われる子は世の中にたくさんいるはず。ただ、世間の理解が邪魔をすると思うので、納得してもらえる結果を増やしていきたい」(川上社長)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
なぜ酒蔵の許諾なしに? 「VTuberコラボ日本酒」騒動、主催者が経緯説明 仲介者による調整で「準備進んでいると認識」
-
2
かっぱ寿司「配布前のコラボグッズ、フリマで買わないで」 プリキュアコラボ発表日に注意喚起
-
3
「食事量は1日1200kcal以下、でも肥満」な人を14日間追跡調査 痩せない理由は……米コロンビア大などの研究
-
4
本物そっくり“AI生成レシート“が経費精算の脅威に マネフォ「自力で見破るのは難しい」 企業はどう備える?
-
5
「菜の花がおかしい」――イラストレーター制作うたうマラソン大会ポスターに指摘相次ぐ 事務局がAI使用明かす【訂正あり】
-
6
「ペンギンを返して」→「3匹全部採用して」 批判殺到のSuica新キャラ、ファンアートが空気を変えた? SNSの声
-
7
藤井風のリサイタル、公式サイトがインターネット老人会すぎると話題 公民館のチラシみたいだけど東京ドーム開催
-
8
松本デジタル相、24.6万件漏えい可能性について説明 「既知の脆弱性を対応前に悪用」
-
9
「iPhone Duo」純正ケース話題、「面白いけど高い」……1万4800円と2万4800円
-
10
「ランジェリーパープルじゃない」「買おうと思ってたのに」 iPhone 18 Pro/Pro Maxの色に落胆の声
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR