「パケ死」の意味が変わった? 「高額請求」ではなく……
「パケ死」と聞くと、どんな状態が思い浮かぶだろうか?
かつては、「携帯電話でネット(パケット通信)を利用しすぎて、払いきれないほど高額なパケット通信料の請求を受けること」を「パケ死」と呼んでいた。だが最近は、「月の高速データ通信量の上限を超え、通信速度が遅くなること」を「パケ死」と呼ぶ人が増えているようだ。
10年前の「パケ死」とは
「パケ死」という言葉が使われ始めたのは、2000年ごろのようだ。当時、携帯ネットの通信料金は、「1パケット当たり○円」など従量課金制だった。
短いテキストメールの送受信程度の通信量なら、従量制でも請求額はそれほど大きくならなかったが、携帯電話のネット機能が急激に進化し、Webサイトの閲覧や楽曲ダウンロード、“写メ”(写真付きメール)の送受信など大容量データのやりとりが可能になる中で、ユーザーのパケット通信量も激増していった。
03年には、国内で初めてパケット定額制が導入されたが、パケット定額を契約せずに大容量データを利用したユーザーが月数万円~数十万円の請求を受けるケースが相次ぎ、社会問題化。パケットを使いすぎ、高額な通信量を請求されることが「パケ死」と呼ばれた。
ITmediaの過去記事を検索したところ、02年には「パケ死」が登場しており、06年には記者も「初めてパケ死した」という記事を書いていた。
その後、パケット定額制が普及し、端末がフィーチャーフォンからスマートフォンに移行する中で、高額請求で「パケ死」する人は減り、「パケ死」という言葉そのものもあまり使われなくなっていった。
今は「月の通信量の上限超え」の意味に
最近は、別の意味で使われ始めているようだ。「動画見てたらパケ死したので、さらに1GB課金した」「今月はもうパケ死した」――Twitterを「パケ死」で検索すると、こんなつぶやきがヒットする。「月3GB」や「月7GB」など、契約している高速データ通信量の上限を超えてしまい、通信速度が制限されて遅くなることを「パケ死」と呼んでいるようだ。
産経新聞がLINEモバイルの嘉戸彩乃社長(31)にインタビューしたこの記事でも、「パケ死」は「毎月のデータ通信量の制限を超えたために、インターネットの速度が遅くなること」と解説されている。LINEによると、「嘉戸社長がTwitterなどSNSを通じてユーザーの声を拾う際、学生などが『今月もパケ死した』などと投稿しているケースをよく見ていた」ことから、「パケ死」を「データ通信量の上限を超える」意味で使っているという。
「パケットの使いすぎで“死ぬ”」
ITmedia ニュース編集部の部員に「パケ死」の意味をヒアリングしてみたところ、多くの記者が「従量課金で高額請求を受けること」だと思っていたが、30代前半の女性記者は、「通信量の上限を超えた、という意味だと思っていた」と話した。彼女はそもそも、従量制のプランに入ったことがなく、「高額請求されるという現象がよく分からない」という。
定額制が普及した今でも、「パケ死」を旧来の意味で使うケースもある。国内の携帯電話を海外に持ち込み、ローミングで通信する場合、海外向けの定額制サービスに入っていないと、従量制で高額な通信料金が請求され、「パケ死」することがあるのだ。最近では、体操の内村航平選手が、ブラジル・リオデジャネイロで「Pokemon GO」をダウンロードし、50万円の通信量を請求されたというエピソードが、「パケ死」だとして話題になった。
旧来の意味でも、新しい意味でも、パケ死が「パケットを使いすぎ、死ぬほどつらい目にあう」というイメージを伝えていることは変わりない。端末や通信の形が変わっていく中で、「パケ死」という言葉は、微妙に変化しながら生き続けている。
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