新連載・“中の人”が明かすパソコン裏話

どれも同じ? とんでもない! 「ACアダプター」に込めた開発者のこだわり(2/3 ページ)

 日本で展開することだけを考えた場合は、100ボルトのコンセントに差し込めればいいので、ハードルがぐっと下がります。ところが、海外でも使う場合、さまざまな形状のコンセントが存在し、電圧も100ボルトだけではなく200ボルトの地域もあります。日本市場向けのACアダプターを開発する上では、海外での利用にも対応しつつ、日本での使いやすさを同時に実現していく必要があるのです。

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「IEC-C7」(通称:メガネ)と「IEC-C5」(通称:ミッキー)。端子形状が違うとケーブルの太さもここまで変わる

 上の写真はいずれも日本向けのACアダプターです。使いやすさを考えると左側のIEC-C7(通称「メガネ」)のプラグを採用したACアダプターのほうが、アース線がないためケーブルを細くでき、持ち運びなどにも快適です。ところが、海外ではアース付きの端子が求められるケースも多く、実はこのIEC-C7のほうが汎用性が低くなります。

 ここがメーカーにとっては悩みどころでした。日本で利用する上では、ケーブルが細く、かばんへの収まりのよいACアダプターが喜ばれます。結論から言うと、私もそのようなACアダプターがほしいこともあり、いろいろと数値的な説得材料を用意し、会社に無理を言って採用しました。

 結果的にお客様に喜ばれ、売り上げも伸びているので、間違った判断ではなかったと思います。冒頭の写真は、当社のノートPCに初採用された“日本専用”のACアダプターです。

 このACアダプターは、L字型のDCプラグも同時に採用しました。L字型DCプラグは側面のスペースを節約したいという思いから生まれたデザインですが、ストレート型プラグがまだまだ一般的な中、この形状を標準採用するためには、メーカーの中でもロジカルな説明が必要になります。

 例えば、側面のスペースを○%節約できる、ユーザーアンケートで○%の人々に求められている――といったデータとともに「採用しましょう」とプッシュするわけです。こんな工程を経て、ようやく製品化された際の喜びはひとしおです。

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ストレート型コネクターとL字コネクターの例

日本ならではの感性に注目 それは……

 ここまで「利便性」に注目したローカライズ模様を紹介してきましたが、メーカーの中にいると、日本人独自の感性に気づくこともあります。

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“中の人”が明かすパソコン裏話

昔はPCを購入することはそれこそ一大決心でしたしワクワクするものでした。この連載では、そんな「ワクワクする気持ち」をもう1度思い起こすきっかけとなるような、PCのちょっと面白い「小ネタ」や「裏話」を、“PCを提供する側”というちょっと変わった視点からご紹介していきます。

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この記事の著者

白木智幸(日本HP)
白木智幸(日本HP)

日本HPパソコン&タブレットエバンジェリスト。パーソナルシステムズ事業本部に所属し、法人向けタブレット製品のプロダクトマネージャ(製品企画)とビジネスプラン(販売計画)を担当。PCやタブレットの楽しさや素晴らしさを広くお伝えすることを通じ、グローバル化の進む現代でよりよい働き方を実現するためのエッセンスを提供することがテーマ。

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