新連載・“中の人”が明かすパソコン裏話
どれも同じ? とんでもない! 「ACアダプター」に込めた開発者のこだわり(3/3 ページ)
その1つが、差し込み端子(プラグ)を折りたためる機構を持ったACアダプターが好まれる点です。
「収納術」を仕事にしている人もいるくらい、私たち日本人は狭いスペースを有効に活用しようという優れた感性を持っています。ところが、海外にはそもそもコンセント自体が大きい国もあり、折りたためるような省スペースのACアダプターは珍しいのです。
こうした点でも、グローバル企業ならではの壁にぶち当たることになります。多くの会社や組織に共通すると思いますが、全社で“共感”が得られないことを推し進めるのは容易ではありません。
そこで、どこかで共感が得られる国や人がいないかを探します。実は、米国でも日本と同じコンセントが使えるので、米国のプロダクトチームの担当者が来日したときに「こういうACアダプターがあると便利だよね」と刷り込んでいきました。そうすることによって、自然と共感が得られ、話を進める土壌ができるのです。
日本と米国で使えるACアダプターであれば、ある程度の出荷量が見込めることから、開発のハードルを下げることもできます。こうして、現在の主力機種のいくつかに採用されているACアダプターは、プラグが折りたためる機構と、L型のDCコネクターの両方を採用するに至ったわけです。
“1台3役”なACアダプターに注目
最近、「USB-C」いうキーワードを耳にされた方も多いのではないかと思います。「USB-C」は表裏の区別なく使えるほか、多くの電気を流すことができ、スマートフォンやタブレット、ノートPCの充電に対応します。HPでも薄型軽量ノートや2-in-1タブレット、スマートフォンでUSB-C規格を採用しています。
ACアダプターの供給能力や仕様にもよりますが、同じUSB-Cポートを備えたタブレットやスマートフォンならば、1つのACアダプターを共有することができます。つまり、ACアダプターを1つカバンに入れておけば、スマートフォンも、タブレットも、ノートPCもこれ1台で充電できるのです。
USB-Cは業界標準であるため、メーカー間で互換性があるのも素晴らしい点です。メーカーとしてはACアダプターのコネクター形状が自社の製品だけに閉じていたほうが、もしかすると周辺機器の需要を囲い込みして売り上げが見込めるのかもしれません。しかし、ユーザーの視点で見た場合、1つのコネクター形状をすべてのメーカーが採用していたほうが、都合がいいのは確かでしょう。
シンプルなようで奥深いACアダプターの世界。今度ノートPCや2-in-1タブレットの購入を検討する際は、ぜひACアダプターの仕様にも注目してみてください。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
“中の人”が明かすパソコン裏話
昔はPCを購入することはそれこそ一大決心でしたしワクワクするものでした。この連載では、そんな「ワクワクする気持ち」をもう1度思い起こすきっかけとなるような、PCのちょっと面白い「小ネタ」や「裏話」を、“PCを提供する側”というちょっと変わった視点からご紹介していきます。
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
メルカリ、梨の転売疑惑に「盗品の出品は確認されず」 誹謗中傷には利用制限も
-
2
Anthropic、「Claude Opus 5」公開 Fable 5に迫る性能を半額で――サイバー安全策は緩和、拒否時は自動フォールバックも
-
3
「iPhone高騰」はこれからも続く? 中国CXMTに近づくApple、メモリ競合へのけん制が不発に終わりそうなワケ【後編】
-
4
「ニューロマンサー」実写ドラマ、Apple TV+で2027年1月配信開始へ
-
5
海外の新作バカゲー「電車アタック」にマンガ家が感心した理由 ブッ飛んだ内容と完成度の高さ、そして“日本”
-
6
「めっちゃカメレオン」公式Discord乗っ取り 担当者PCがマルウェア感染、管理者が全員BANに 現在は復旧
-
7
「こんなのに追われたら……」急斜面もやすやす爆走、中国製の車輪付き四足ロボのデモ動画が話題 最高時速20km超
-
8
暑さ対策が熱い! 「猛暑対策展」で感じた、転んでもただでは起き上がらない日本人のエネルギー
-
9
検索結果に「詐欺ではありません」と表示させる詐欺手口、警視庁が注意喚起 AI要約も餌食に
-
10
スーパーに並んだ「ごちゃごちゃ生成AIポップ」が物議 “看板王”こと、きぬた歯科院長「これはアリ」
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR