「STORIA法律事務所」ブログ

萌えキャラ生成AI、学習データを“ネットの海”からゲッチュするのはアリか?(1/5 ページ)

この記事は、「STORIA法律事務所」のブログに掲載された「萌えキャラ生成AIを題材に「AIビジネスと法律」を学ぼう」(2017年09月21日掲載)を、ITmedia NEWS編集部で一部編集し、転載したものです。

 AI(人工知能)に関するセミナーやお話をする機会が最近増えているのですが、いつも冒頭で「AIと法律・知財に関する問題領域の概観」をお話しするようにしています。「AIと法律」「AIと知財」は、とにかく論点が多いので、「それらの論点がどこの領域に関するものなのか」を意識しながら聞いて頂くと、より理解が深まるためです。

 そこでいつも使っている図がこちら。

 上の段がAIの生成フェーズ、下の段がAIの利用フェーズです。ただ、これはあくまで抽象的な図なので、より理解を深めていただくために「AIと法律・知財」に関する論点をカバーするような具体的事例がないかと思っていたところ、見つかりました。

 Web系メディアの記者さんから教えてもらったサービスなのですが、深層学習で萌えキャラを作るWebサービス「MakeGirls.moe」です。

 これは、各種パラメーターを選択して「生成」ボタンを押すと、AIが自動的に萌えキャラを生成するという無料のWebサービスです。

 開発者のブログを見ると、深層学習の中でもGAN(Generative Adversarial Networks、敵対的生成ネットワーク)というフレームワークを利用して萌えキャラを自動生成しているようです。

 実は、このサービスは「AIと法律・知財」に関する論点を理解するのに非常に適した題材です。例えば、このサービスを構築するに際しては、大量の萌えキャラデータを読み込んでキャラ生成用のAI(具体的には学習済みモデル)を生成する必要がありますが、そのようなキャラデータの読み込み行為はキャラデータの著作権侵害にならないのでしょうか。

 また、それ以外にも

  • 「生成された学習済みモデルは誰のものか」
  • 「学習済みモデルで自動作成した萌えキャラ画像については誰が権利を有するのか」
  • 「自動生成された萌えキャラを俺は愛せるか」
  • 「モデルが自動的に生成した萌えキャラ画像が、学習済みモデル生成に利用した生データの1つに『偶然』似てしまった場合、当該生データの著作権侵害にならないのか」

 といった疑問点が湧いてきます。すみません、疲れているようです。1つ変なのが混じっていました。無視してください。

仮に生データを権利者の許諾なくダウンロードしてモデルを生成していた場合、生データの著作権侵害にならないのか

モデル生成に利用しているデータ

 先ほどの開発者のブログを読むと、このサービスはAI生成に必要なデータとして、「Getchu」というサイトに掲載されているゲームの立ち絵キャラの画像を利用しているということです。

To teach computers to do things requires high quality data, and our case is not an exception. The quality of images on large scale image boards like Danbooru and Safebooru varies wildly, and we think this is at least part of the reason for the quality issues in previous works. So, instead, we use “standing pictures” (立ち絵) from games sold on Getchu, a website for learning about and purchasing Japanese games. Standing pictures are diverse since they are rendered in different styles for different genres of game, yet reasonably consistent since they are all part of the domain of game character images.(開発者のブログより)

 もちろん、「Getchu」から許可を得て利用しているのであれば何の問題もないのですが、ここでは、仮に許可を取っていなかったとします。その場合にGetchu掲載のキャラをモデル生成に利用できるか、という問題です。

印刷する
SNSでシェア
SpecialPR

STORIA法律事務所ブログ

東京都と神戸市にある「STORIA法律事務所」のブログに掲載された、選りすぐりの注目記事を転載しています。

この連載の記事をもっと見る

この記事の著者

柿沼太一
柿沼太一

1973年生まれ。00年に弁護士資格取得後、著作権に関する事件を数多く取り扱って知識や経験を蓄積し、中小企業診断士の資格取得やコンサル経験を通じて企業経営に関するノウハウを身につける。13年に、あるベンチャーから案件依頼を受けたのをきっかけとしてベンチャー支援に積極的に取り組むようになり、現在ベンチャーや一般企業、著作権関係企業の顧客多数。STORIA法律事務所(ストーリア法律事務所)所属。ブログ (http://storialaw.jp/blog/author/kakinuma) 更新中。

関連記事

こんなメディアも見られています

ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。

メールマガジンを配信中
メールマガジンを配信中

国内外の業界動向、AIやクラウドなどの最新技術、キャリア情報など今知りたい情報をまとめてお届けします。

いますぐご登録

本日の新着記事

アクセスランキング

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10

ITmedia NEWS SNS

X @itmedia_newsをフォロー

インフォメーション

ITmediaNEWSをフォロー

あなたにおすすめの記事PR