「昔のニコ動に戻りたい」は叶わぬ夢か 運営とユーザー“温度差”のワケ(4/5 ページ)
「ニコキャス」が獲得したい10~20代のスマホユーザー
ニコキャスの説明をする前に、niconicoの現状をいま一度振り返ってみたい。先述したように、ニコニコ動画は10年1~3月期に初めて黒字になった。ニコニコ動画の売上高14億2800万円の内、75%(10億8200万円)がプレミアム会員だった。プレミアム会員数も堅調に伸びていたが、16年10~12月期の連結決算で初めて減少。12月時点で252万人と9月末比で4万人減った。
そして、先日の17年4~9月期の連結決算だ。プレミアム会員数は228万人で、前年同期比で28万人の減少。総ユーザーを年代別で見ると、10~20代が減り、30~50代が増えるなど高齢化の傾向が見られた。
収益の柱であるプレミアム会員数が減少傾向にある。しかし、今すぐ彼らの要望に応えられる状況ではない。そもそも、画質や重さの問題を改善すれば失った有料会員は戻ってくるのか――そんなジレンマの中、niconicoがひねり出した新たな一手がニコキャスなのだろう。
「『niconico(く)』によってユーザー層の拡大を期待していると言っていたが」――会場で、記者の質問に川上会長はこう答える。
「niconicoがまだ取れていない、10~20代の若いスマホユーザー。現状、スマホアプリのクオリティーが低いのも原因だろう」
企業として、新たなサービスや機能を提案し、ユーザー拡大に注力するのは健全な流れだが、コアユーザーが期待したものとの乖離(かいり)が激しかった。
ニコキャスは、配信者と視聴者の双方向性を強化した動画・生放送インタフェース。リアルタイム映像合成機能を備え、生放送を始める前にリアルタイムでオープニング映像を挿入する機能や、視聴者向けアンケート・クイズを簡単に出題できる「ニコニコQ」、放送者と視聴者が参加できる「ニコ割ゲーム」などを用意する。カジュアルなゲームを用意したのも、普段ゲームをしないライト層向けのカジュアルなもの。ログインなしで利用できるなど、これまでniconicoに触れてこなかった層を意識したような機能が目立った。
配信中にPCとスマホカメラの映像をワンタップで切り替えられる「マルチカメラ」や、別の配信を同時配信できる「引用する」などは、「これはいいじゃん」「良い機能」など好意的なコメントが寄せられたが、コメント欄ではニコキャスは全体的に不評だった。
しかし、ふたを開けると「niconico(く)サービス発表会」の公式生放送は、来場者数10万人以上(通信が不安定だったのもあるが……)で、コメント数は6万件を超えた。Twitterでも「#niconico」「#ニコニコ」が深夜までトレンド入り。反響の大きさや、ユーザーがどれほど「く」に期待していたかも伺えた。期待の高さ故、それを裏切られたときの反動も大きい。
今回、ニコニコ動画は2度目の「曲がり角」を迎えたのかもしれない。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
なぜ酒蔵の許諾なしに? 「VTuberコラボ日本酒」騒動、主催者が経緯説明 仲介者による調整で「準備進んでいると認識」
-
2
かっぱ寿司「配布前のコラボグッズ、フリマで買わないで」 プリキュアコラボ発表日に注意喚起
-
3
「食事量は1日1200kcal以下、でも肥満」な人を14日間追跡調査 痩せない理由は……米コロンビア大などの研究
-
4
本物そっくり“AI生成レシート“が経費精算の脅威に マネフォ「自力で見破るのは難しい」 企業はどう備える?
-
5
「菜の花がおかしい」――イラストレーター制作うたうマラソン大会ポスターに指摘相次ぐ 事務局がAI使用明かす【訂正あり】
-
6
「ペンギンを返して」→「3匹全部採用して」 批判殺到のSuica新キャラ、ファンアートが空気を変えた? SNSの声
-
7
藤井風のリサイタル、公式サイトがインターネット老人会すぎると話題 公民館のチラシみたいだけど東京ドーム開催
-
8
松本デジタル相、24.6万件漏えい可能性について説明 「既知の脆弱性を対応前に悪用」
-
9
「iPhone Duo」純正ケース話題、「面白いけど高い」……1万4800円と2万4800円
-
10
「ランジェリーパープルじゃない」「買おうと思ってたのに」 iPhone 18 Pro/Pro Maxの色に落胆の声
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR