海賊版サイトのブロッキングは“抜け穴“だらけ 実効性に疑問の声(2/3 ページ)
ブロッキングがどのような手順で実現されるかを理解するには、Webアクセスがどのように行われるかを理解しなければならない。WebブラウザでURLを入力すると、それはまずDNSサーバによって「IPアドレス」に変換され、このIPアドレスに対してHTTPリクエストを送信し、その結果がブラウザ上に表示される。一連の通信は「IPパケット」と呼ばれる細かな単位に分割されて行われる。ブロッキングは、この一連の手順のどこかを「妨害」すれば成立する……はずだ。
だが、登壇者の上原哲太郎氏(立命館大学情報理工学部教授)は、現実的にはそれは困難だと説明する。
まずURLを元にする場合だが、「HTTPの中身は、複数の(実質的には全ての)IPパケットを集めなければ分からない。この作業を実現するのは技術的にも困難で、非常に高額なDeep Packet Inspection(DPI)機器を導入する必要がある。その上、世の中ではHTTPに代わって(通信の内容が暗号化される)HTTPSの導入がどんどん進んでおり、暗号化されたパケットの内側の解読は不可能になっている」(上原氏)。結果として、URLによるフィルタリングは困難だ。
ならば、DNS(Domain Name System)による名前解決を行えないようにするDNSフィルタリングならばどうかというと、「バーチャルホスティングや負荷分散により、IPアドレスとサーバのホスト名は、必ずしも一対一の関係ではない。このため、IPアドレスやホスト名をベースにフィルタリングを行うと、多くの無害なサーバが巻き添えを食らってオーバーブロッキングされたり、漏れが生じる恐れがある」(上原氏)と、こちらもやはり実現は難しいことが分かる。
その上、ISPが提供するDNSサーバを使わずに、Googleが提供する「8.8.8.8」やCloudflareの「1.1.1.1」といったパブリックDNSサービスを利用すれば、ブロッキングは回避されてしまう。これに対し、「OP53B」という形で外部のDNSサービスの参照をブロックする技術もあるが、「DNS over HTTPS/TLS」という技術が普及すれば、DNSフィルタリングはあまり意味がなくなる可能性が高い。実態はDNSの問い合わせでも、途中の機器からはHTTPS通信にしか見えないからだ。検閲を回避してプライバシーを守る用途にも用いられている「Tor」や海外のオープンプロキシが使われれば、やはりフィルタリングは困難となる。
おしなべて、対策には回避策がある。「ブロッキングを実現するのは大変だし、抜け穴もたくさんある」(上原氏)のが実態だ。
導入後の運用コスト、誰がどう負担?
導入後の運用を考えても、ブロッキングには困難がつきまとう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
GMO、ランサム被害にあった顧客に新しいPC提供へ 犯行グループは1人の顧客情報公開か
-
2
NECのルータ「Aterm」、PHP脆弱性の影響なし 設定画面URLの「.php」は無関係
-
3
「楽天トラベル」に不正アクセス 顧客情報最大約260万件など流出か 予約者約3.6万件のクレカ情報も
-
4
Google、プライバシーポリシーに「Gmail」「Googleフォト」のデータを広告に使う例外を追加 回避方法は
-
5
GMO不正アクセス、犯人側は「27日に顧客のPC攻撃」予告 GMOが端末回収、ホワイトハッカーが解析中
-
6
GMO、攻撃者の公開情報に「アクセスは絶対に控えて」 悪質な拡散者には法的措置を準備
-
7
「5年でバッテリーが使い物にならなくなる」は本当か テスラ「モデル3」5年目点検で分かったこと
-
8
GMO熊谷代表「社内ホワイトハッカーが事前に指摘」も対策遅れ、国に「能動的サイバー防御」要請 「責任転嫁では」SNSで批判も
-
9
「年齢は合ってますが、人間ではありません」 6歳の飼い猫に届いた“進研ゼミの案内” なぜ届いたのかベネッセに聞いた
-
10
グッスマに不正アクセス、公式EC閉鎖 会員の住所や注文履歴など漏えいか 再開目処立たず
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR