「とりあえずAI」は危険 人工知能で成功する企業、失敗する企業(2/3 ページ)
AI導入はシステム導入と同じ
伊藤さんは「AI導入はシステム導入に似ている」と話す。「新しいITツールを導入するときは、システムに合わせて現在の業務をどう変えるかを考えないといけない。今の仕事のやり方が変わることに対して反発する人もいるので、そこをきちんと解決しないといけない」(伊藤さん)
AIに仕事を奪われるのではないか、なじみのないAIツールを使いこなせるのか――など、現場の悩みは絶えない。前者については、対象部門の人員を単に減らすのではなく、必ず配置転換で対応するようアドバイスしているという。「単純な帳票作成など自動化できる所は機械に任せて、人間は分析など、より生産性が高い作業にシフトすればいいので、ポジティブに捉えるといいと思う」(伊藤さん)
課題だらけにも見える企業のAI導入だが、もちろん成功例もある。伊藤さんは、とある企業のコールセンター部門に導入したチャットbotの事例を挙げる。
成功した企業の事例
内容自体は、単純なFAQなどはチャットbotの自動応答に任せ、機械で解決できない部分は現場のオペレーターにつなぐというよくある事例だが、「現場の担当者までモチベーション高く取り組めた数少ない例」と振り返る。
IT部門主導で行ったプロジェクトだったが、数十人いたコールセンター担当者は現状の業務が変わることに反発していたという。チャットbotの精度を上げるため、いちいち評価をフィードバックする必要があったからだ。
しかし、いつの間にかチャットbotの精度が上がることが現場スタッフのモチベーションになっていたという。最初は訳の分からないミスを連発していたチャットbotが成長していくこと自体に喜びを見いだしていったのもあるが、伊藤さんは「トップやIT担当が現場の小さな成功を褒めていたことが大きい」と考える。
「ITやAIと聞くとドライなイメージがあるが、実際の現場では非常にウェットなコミュニケーションが求められる」(伊藤さん)
成功する企業、共通点は?
伊藤さんいわく、AI導入で成功する企業に共通するのは忍耐力。「数年掛かりで数億円を投資して行うようなプロジェクトもあり、現場がコミットできる体制をいかに作れるかが求められる」と強調する。
その上で「トップダウンによる号令が欠かせない。全社員にAIを導入する意味や、それによって解決したい課題(の周知)を徹底させること。それを根気強く説明する必要がある」と話す。前例のない大型プロジェクトを進めるにあたり、経営層の手腕が問われるという。
「システム導入と同じで、成功して当たり前という考えがあると失敗事例ばかりが目立ってしまう。成功事例が増えることで企業のAI導入はさらに進んでいくはず」(伊藤さん)
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