テレパシーも実現できる? AIで急加速する「ブレインテック」の世界(3/4 ページ)
「考える」だけで文字入力が可能に?
ブレインテックの中でも、世の中を大きく変えるといわれている技術が「BMI」(ブレイン・マシン・インタフェース)だ。「BCI」(ブレイン・コンピュータ・インタフェース)と呼ばれることもある。
これまで人は機械を動かすのに主に手を使ってきたが、近年Amazon EchoやGoogle Homeといったスマートスピーカーが登場し、声という機械操作の新たなインタフェースを手に入れた。しかしブレインテックで脳の見える化が進むと、声を発する必要すらなく、頭の中で考えただけで機械が動くようになる。絵空事のように聞こえるかもしれないが、既に開発は始まっているのだ。
スタンフォード大学が17年に公開した論文では、身体がマヒしている患者の脳に電極を設置して脳活動を読み取り、画面上のカーソルを操作している。
FacebookはBMIに着目し、考えただけでスマートフォンに文字入力ができる「Brain-Typing Project」を開始した。17年のイベントでは手入力の5倍の速さに相当する、1分間当たり100語を入力できるシステムを開発すると発表している。
Microsoftも思考を使ってアプリケーションを動かす技術に着目し、18年1月に「ブレインセンシングシステム」の特許を取得した。また、「DARPA」(米国国防高等研究計画局)は義肢を脳と直接つなぐことで、義肢で何かに触れたという触覚を脳が感知できることを示した。
テレパシーは実現するか
日本での面白い試みとしては、先述したImPACTのプログラムにおいて、健常者が自分の両腕を動かしながら第3の腕としてロボットアームをBMIで操作する手法を18年に世界で初めて実現している。
ブレインテックの潮流はまだ始まったばかりだが、これがさらに進展していけば人類はさらに大きなパラダイムシフトを迎えるかもしれない。つまり、ブレインテックはただ生活の質を上げるだけにとどまらず、先々は人間の身体と認知能力を進化させるような「トランスヒューマニズム」と呼ばれる思想にも関わってくるのだ。
実際に、実業家のイーロン・マスク氏はNeuralinkという会社を立ち上げ、脳にデバイスを埋め込むことでテレパシーのように言語を用いないで意思疎通を図ったり、脳とクラウド上のAIを接続して人の計算能力を補うといった研究を進め、8~10年後の実用化を目指している。
Kernel社は脳に小さなデバイスを埋め込んで認知症を改善する研究開発を行っており、既にラットを使った実験で脳の海馬にデバイスを埋め込むことで記憶力を改善することに成功しているという。Paradromics社は脳のニューロンに直接接続する技術開発を行い、DARPAから1800万ドルを超える投資を受けている。
ニューロンへの接続はどれだけ多く同時に接続できるかでやりとりする情報の精度と量が変わるため、Paradromics社は現在100万個のニューロン接続を目指しているのである。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
GMO不正アクセス、犯人側は「27日に顧客のPC攻撃」予告 GMOが端末回収、ホワイトハッカーが解析中
-
2
「楽天トラベル」に不正アクセス 顧客情報最大約260万件など流出か 予約者約3.6万件のクレカ情報も
-
3
GMO熊谷代表「社内ホワイトハッカーが事前に指摘」も対策遅れ、国に「能動的サイバー防御」要請 「責任転嫁では」SNSで批判も
-
4
「年齢は合ってますが、人間ではありません」 6歳の飼い猫に届いた“進研ゼミの案内” なぜ届いたのかベネッセに聞いた
-
5
Google、プライバシーポリシーに「Gmail」「Googleフォト」のデータを広告に使う例外を追加 回避方法は
-
6
「5年でバッテリーが使い物にならなくなる」は本当か テスラ「モデル3」5年目点検で分かったこと
-
7
Apple、「iPad mini」を大幅刷新 8.5インチOLEDとA20 Pro搭載、防水にも対応 11万9800円から
-
8
ジョーシンへの不正アクセス、最大623万件漏えいか 運転免許証2件・マイナカード1件なども
-
9
グッスマに不正アクセス、公式EC閉鎖 会員の住所や注文履歴など漏えいか 再開目処立たず
-
10
野村総研、サイバー攻撃時の「能動的なシステム停止」を支援する新サービス
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR