平成のうちに知りたい元号のこと
「令和」公表後のシステム対応、どうなってる?(1/2 ページ)
2019年5月1日の改元を目前に控え情報システム等の改修対応に担当者は、大わらわの日々を送っていることだろう。いや、このタイミングで未だにバタバタしているようでは、「今まで何してたの」と言われそうだが、何事も予定どおりに運ばないのが「大型改修案件の恐ろしいところ」(引退エンジニア)だという。
昭和から平成への切り替わり時と異なり、今回は4月1日の新元号公表、5月1日切り替えという形で、あらかじめスケジュールが判明している。それ相応の準備を進めていれば改修に携わる関係者への負担も少なく、スムースな移行が可能なはずだ。
だが「システム周りの改修自体は予定どおりで特段の問題はない。それよりも画面表示や帳票への印字チェックやリハーサルの工数が多すぎて頭を抱えている」(保険代理店システム担当)とうなだれる。確かに、レガシーなシステムでもない限り改元へに対応は織り込み済みの場合が多く、ロジックを改修する程度で大きな苦労はないだろう。だが、画面表示や出力関係の印字チェックともなると、ワークフローの随所で人手による確認作業が要求される。ともすれば実際の業務と同等の時間を必要とするのではないか。
この担当者は「画面表示や印字も西暦に統一しておけば、苦労をしなくて済むのだが、保険関連の企業は、なぜか和暦印字にこだわる」と憮然として言い放つ。実際、保険関連企業だけでなく、行政機関、銀行、歴史あるビッグネーム企業などで使用される書類や帳票の類は和暦が印字されていることがほとんどだ。ただし、みずほ銀行の様に、次期勘定系システムへの移行準備の一環として、通帳の日付印字における和暦から西暦への変更を随時実施した例もある。
間に合わない場合は手書きやゴム印等で修正
行政や金融機関だからといって、和暦使用が法令により義務化されているわけではないのだが、昭和54年(1979)の元号法制定時の国会答弁において、「国等の公的な機関は、外交文書等特別な場合を除いて元号を使用することが当然であり、一般国民も協力を願いたい」といった趣旨の答弁が当時の所管大臣からなされた。当時の議事録(PDFへのリンク)を読むと、文化論、西暦の利便性、天皇制といった部分にまで議論が拡大しているのがわかる。
「法的義務はないけど使用して『当然』」とまで言われてしまっては、行政機関は当然として、民間においてもエスタブリッシュメントな組織であればあるほど、お上に忖度して和暦を使うのは致し方ないのだろう。その考え方は、多くの組織で「令和」になってもそのまま引き継がれていくようだ。たとえば、今筆者の手元にある日本年金機構が事業主向けに毎月配布する「お知らせ」がある。ここの「納入告知書・領収済通知書」の項には、「次回送付分(5月末納付分)から新元号の表示を行います」と明記されている。
日本年金機構といえば、平成27年(2015)サイバー攻撃による個人情報流出で国民の信頼を失った過去があるだけに、他人事ながら「改修が間に合ってよかったね」という安堵感とともに、霞が関の省庁だけにこれからも和暦表示を堅持する姿勢であることがわかる。
その一方で、関東圏のある政令指定都市のIT部門の担当者は「5月1日以後も一部のシステムで対応が間に合わない。住民の皆様に送付する書類は、手書きやゴム印等で修正する、読み替えのお知らせ文を同封するなどで対応」と明かしてくれた。実際、政令指定都市レベルのITともなると「組織全体で数百というシステムが可動しているので、和暦改修箇所の洗い出しは、統括部門として全体を把握するのは難しい」(IT担当)のが現状だという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
平成のうちに知りたい元号のこと
「平成」もあと数カ月。第三次産業革命といわれるように、現代社会にはコンピュータやロボット、ネットワークなど、情報通信が広く普及しています。そんな社会が迎える初めての改元ということもあり、ITシステムやビジネスへの影響を懸念する声も上がっています。 この連載では、元号の生まれや改元の歴史、改元対応に追われる業界の声まで、平成のうちに知っておきたい元号と改元の話を幅広く紹介します。
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
メルカリ、梨の転売疑惑に「盗品の出品は確認されず」 誹謗中傷には利用制限も
-
2
Anthropic、「Claude Opus 5」公開 Fable 5に迫る性能を半額で――サイバー安全策は緩和、拒否時は自動フォールバックも
-
3
検索結果に「詐欺ではありません」と表示させる詐欺手口、警視庁が注意喚起 AI要約も餌食に
-
4
「iPhone高騰」はこれからも続く? 中国CXMTに近づくApple、メモリ競合へのけん制が不発に終わりそうなワケ【後編】
-
5
「ニューロマンサー」実写ドラマ、Apple TV+で2027年1月配信開始へ
-
6
「こんなのに追われたら……」急斜面もやすやす爆走、中国製の車輪付き四足ロボのデモ動画が話題 最高時速20km超
-
7
海外の新作バカゲー「電車アタック」にマンガ家が感心した理由 ブッ飛んだ内容と完成度の高さ、そして“日本”
-
8
「めっちゃカメレオン」公式Discord乗っ取り 担当者PCがマルウェア感染、管理者が全員BANに 現在は復旧
-
9
暑さ対策が熱い! 「猛暑対策展」で感じた、転んでもただでは起き上がらない日本人のエネルギー
-
10
スーパーに並んだ「ごちゃごちゃ生成AIポップ」が物議 “看板王”こと、きぬた歯科院長「これはアリ」
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR