「Huawei問題」の本質は何か(2/3 ページ)
証拠はどこに? 懸念はあっても払拭できない「疑念」
とはいえ、実のところ、表に見える形でこれらの「懸念」に対する証拠があるか、というと、ない。ドイツやフランスは調査の結果「証拠はみつからなかった」としているし、筆者も、「明確な証拠がある」という話を聞いたことはない。
それでも疑念は払拭できないのが、今回の話の面倒なところだ。
通信機器に、我々の知らない「バックドア」が見つかった、という話はけっこうある。エドワード・スノーデンは、NSA(米国家安全保障局)がCiscoの輸出用製品にバックドアをしかけていた、とコメントしている。アメリカが中国企業に疑念を持つのは、自らも同じことをしているからではないか……という指摘は多い。
そもそも、バックドアのようなものが見つかったからといって、それが「不作為なバグによる結果」なのか、「故意に作られたもの」なのか、それとも「存在を故意に見過ごして秘密にしていたもの」なのかを判別することはできない。
携帯電話インフラへの導入した際、通信事業者側が知らないうちにデータを盗めるのだろうか? この疑念については、ソフトバンクの宮川潤一CTOが、以前にこう答えている。
「4Gの基地局などの場合、(データを盗むのは)相当難しいだろう。少なくとも、自分は方法がわからないし、できないと思う。一方、5Gについては、その懸念もあり得る部分がある」
要は、よりインターネット的なインフラになっているので、その中になにかを仕込まれることについては警戒が必要、ということかと思う。
Huaweiは5Gに勝負をかけていた。規格化・技術開発双方に費用も人材も投下し、大きな地位を占めるに至った。結果的に、北欧勢とHuaweiが5Gインフラで大勢を占め、彼らの協力なしには5Gネットワークの構築は難しい状態にある。規格争いでも技術開発でも後塵を拝した日本はもちろん、5Gインフラよりもサービスレイヤーに力を入れていたアメリカもまた、5Gインフラ事業では「勝ち組」に入れていない。
では、そこでどこと組むべきか? アメリカとしては、中国よりも信頼できる北欧勢を優先にしたい……と考えたわけだ。
「壁を作る」中国にカードを切るアメリカ
アメリカと中国の関係は、年々悪化している。
自国の言論統制のために「壁」を作り、海外の企業の進出に制限をかけ、自国内の人口を背景に「自国のためだけのインターネット」と「自国のためだけのネットサービス」を拡大する中国。その姿勢は、政治的にも経済的にも、アメリカの考えとバッティングする。
Netflixのリード・ヘイスティングスCEOは、同社の中国進出について記者に問われ、こう返答している。
「今後数年以内の進出はあり得ない。AppleもGoogleもAmazonも、中国でのサービスをなかば諦めている。よほど政治的な状況が変化しない限り、再考の余地はないだろう」
190カ国以上に進出し、残る空白は中国といくつかの紛争当事国だけ、という状態になったNetflixにとっても、中国は「進出がかなわない、別の論理で動く国」である。
こうした状況、特に貿易戦争について有利に立つため、アメリカは中国に交渉を迫っている。Huawei問題は安全保障上の問題であると同時に、交渉のためのカードである。
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