「Huawei問題」の本質は何か(3/3 ページ)
アメリカはどこまで「影響」を読み切っていたのか
この問題のすべてを俯瞰することは、正直筆者の手にも余る。
だが、今回のアメリカの方針がいかにも乱暴であり、多くの国に影響を与えるものである、ということは断言できる。
例えば、Huaweiは日本から、2018年度だけで6800億円分の資材を買っている、とされている。おそらくアメリカからはそれ以上のものを買っているだろう。
Googleの絡むサービスもHuaweiには提供できなくなっているし、表だったコメントは出ていないものの、マイクロソフトのWindowsや、Intel、AMDなどのCPUも出荷できなくなっているはずだ。Armも、SoCを設計するためのARMコアアーキテクチャについて、今後のバージョンのライセンス提供や技術サポートが停止されているという。
これらのことから、Huawei問題によって、多くの企業が業績面で影響を受けることは避けられない。半導体だけでなく、各種フィルムや素材など、スマートフォンだけを見ても、必要な資材・先端技術は多岐にわたる。国際的なサプライチェーンへの影響は玉突き式に現れるだろう。どのような変化が起きるかは、現状読み切れない。
こうしたことを、アメリカ政府は完全に読み切っていたのだろうか? 「影響は大きいが、その分交渉の効果も高い」と考えているのかもしれない。
「分断されていく世界」を憂う
筆者が懸念するのは、こうしたことによって、「欧米・日本などの市場」と「中国を軸とした市場」の2つに世界が割れてしまうことだ。
過去30年のインターネットの進化は、技術や特許をお互いにシェアし、高速に進化サイクルを回すことで進んできた。功罪はあるが、雇用コストや税的な優遇、市場性などを最適に組み合わせ、どんどん変化しつつ「全体では先に進む」ことによって成り立っていた。国には国境があっても企業がそれを飛び越え、別の論理で世界を広げていった。
だが、この10年、中国の動きも含め、インターネットを国が分断する動きが進んでいる。今回の「Huawei問題」はそれがもっとも先鋭的に現れたものだ。
技術のシェアが進まなくなれば、分断された市場に合わせ、別々の技術が広がることになる。ベースになるのはオープンソース由来の技術だろうが、その上に、「国と市場で分断されたサービス」が横たわり、実質的に、市場によって異なる世界が生まれる。
本当にそれでいいのだろうか?
完全な分断には数年以上の時間が必要だろう。もしかしたら、中国は国としてそういう施策を選ぶかもしれない。
だが、テクノロジーを愛するもののひとりとして、そういう分断が進むことを悲しく思う。すばらしいサービスも、すばらしいガジェットも、そしてすばらしいコンテンツも、世界中の人が同じように楽しめる世界であるべきだ。「楽観的だ」「甘い」と思う人もいるだろう。だが、ここでは理想主義者でいたい、と思っている。
今回の問題が、いい形で早期にすることを願っている。「あの時のあの事件が、世界の分断の始まりだった」と振り返るのは、あまりに寂しい。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
「Xが情報収集に役立たない……」熊本地震で不満の声続出 「Twitterを返して」
-
2
メルカリ、梨の転売疑惑に「盗品の出品は確認されず」 誹謗中傷には利用制限も
-
3
はてな、11億円流出の調査報告書を公開 偽警察、口外禁止、残業・休出200時間超、孤立……ほころびが連鎖
-
4
検索結果に「詐欺ではありません」と表示させる詐欺手口、警視庁が注意喚起 AI要約も餌食に
-
5
「こんなのに追われたら……」急斜面もやすやす爆走、中国製の車輪付き四足ロボのデモ動画が話題 最高時速20km超
-
6
農水省の“クソダサ”ポスター話題 「AIよりよっぽど良い」の声も 担当者に狙いを聞いた
-
7
Z世代に聞く次の流行、「AIイラスト」が1位に 「Claude Code」も上位
-
8
「痺れるほどにミスを繰り返す」Gemini 3.6 Flashは変わった? 公開から1週間、当初のおバカ回答を今検証する
-
9
東野圭吾さん死去、Xなどで追悼相次ぐ 「ガリレオ」など数々の人気作、エンジニアから転身
-
10
NVIDIAやMicrosoftなど30社超、オープンAIの防御ツール共同開発の「Open Secure AI Alliance」設立
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR