ソニー・ミュージック、著作権情報管理にAWSのブロックチェーンを採用 「クリエイターの権利を守りながら、煩雑な管理からも解放」
ソニー・ミュージックエンタテインメントは6月11日、音楽の著作権情報を管理するシステムに米Amazon Web Services(AWS)のブロックチェーンサービスを採用すると発表した。改ざんに強く、企業をまたがってデータベースを共有できるブロックチェーンの仕組みを生かし、著作権情報の登録や共有を効率化する。現時点では試験段階だが、今後本格導入に向けて関係各社と調整を進める。
ソニー・ミュージックエンタテインメントが採用したのは、AWSが提供するフルマネージド型のブロックチェーンサービス「Amazon Managed Blockchain」(AMB)。ブロックチェーンネットワークをAWSのリソース上に構築できるため、導入企業が物理的なサーバ(参加ノード)などを用意しなくてもブロックチェーンを作成・管理できる。
著作権情報管理を効率化 コスト削減効果も
「ブロックチェーン上に音楽著作権の情報を記録することで、クリエイターの権利を守りながら、煩雑な著作権管理の作業からも解放される」──ソニー・ミュージックグループの管理業務を行うソニー・ミュージックアクシス執行役員の佐藤亘宏本部長(情報システムグループ)はブロックチェーンの利点をこのように語る。
一般にブロックチェーンでは、複数の参加者が同じ台帳(データベース)を共有し、新しく入ってきた取引記録(トランザクション)をこれまでのトランザクションに鎖のようにつなげる。トランザクションの追加時にはトランザクションの内容が正しいことを各ノードが確認し合うため、一度ブロックチェーンに取り込まれたトランザクションの改ざんは困難だとされる。
ブロックチェーンで著作権情報を管理し、関係各社がブロックチェーンネットワークに参加することで、情報登録と共有の効率化や、登録情報の信頼性向上が見込めるという。
これまでもソニー・ミュージックグループは、多くのサービスでAWSを採用してきたため、AWSでブロックチェーンを扱うことを検討。ブロックチェーン実装のためにAWSでスクラッチ開発した場合、イニシャルコストが約1500万円、ランニングコストが月額約20万円かかるという試算に対し、AMBであればイニシャルコスト100万円、ランニングコストは月額約5万円に抑えられることが分かり、AMBを採用したという。
「すでに実装的には実用化レベルに達している」(佐藤本部長)というものの、「ステータスとしては実証実験の段階。今後、関係各社と広く連携していく」としている。
ソニー・ミュージックアクシスは、AMB上で動作するブロックチェーンフレームワークに、コンソーシアム型(参加許可制)ブロックチェーンの「Hyperledger Fabric」(ハイパーレジャーファブリック)を選択。AMBでは数クリックで新規ブロックチェーンネットワークを設定でき、ネットワーク参加者として他のAWSアカウントを招待できる。複数の参加者でデータベースを共同所有することで、トランザクションの透明性を確保できるという。
また、ネットワークの作成者のアカウントがなくなっても、参加者がいる限りネットワークはアクティブな状態を維持できるという。
将来的には、AMBで利用できるブロックチェーンフレームワークに「Ethereum」(イーサリアム)も追加する予定。
AWSのラフール・パタークゼネラルマネージャーは、「(AWSという)信頼された機関による分散トランザクション管理が、金融機関やサプライチェーン、小売、住宅ローン融資などの分野で求められている」とし、一企業のサービス上で動くブロックチェーンの需要の高さを強調した。
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