「メジャーストリーマー移籍」がもたらす衝撃 ゲーム配信者がヒットを生み出す時代(1/2 ページ)
8月1日、アメリカで活躍するストリーマー(日本ではYouTuberの方が通りがいいが、ストリーマーの方がプラットフォーム依存のない言葉なので、こちらを使うべきだと思っている)の「Ninja」ことタイラー・ブレヴィンスさんが、ストリーミングに使うサービスをAmazonのTwitchから、MicrosoftのMixerへ変えると発表した。
このことは、アメリカのゲームシーンではかなり大きく報じられている。
NinjaはTwiterのフォロワーが462万人を超える、「超」がつくほどの人気者だ。そんな人物が、自身の収益の源である配信サービスを切り替えるのは、確かに大きなニュースだ。Amazon傘下のTwitchからMicrosoft傘下のMixerへ、というのも話題性がある。
世界のゲームシーンを知らない人からみれば、「ふーん」という感じのニュースではないか。実際、そんなところだろうと思う。
だが、こうした大きな移籍劇がなぜ起きるのか、そもそも彼のようなストリーマーがなぜ大きなビジネスになっているのか、そしてゲームなどの市場にどのような影響を与えているかを知ることは、「映像とビジネスの関係」の変化を示す、とても良いサンプルなのではないか、と思うのだ。
そこで今回は、「ゲームのことを知らない人」に向けて、「Ninja移籍がビッグニュースになり得る背景」を解説してみたい。
この記事について
この記事は、毎週月曜日に配信されているメールマガジン『小寺・西田の「マンデーランチビュッフェ」』から、一部を転載したものです。今回の記事は2019年8月5日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額648円・税込)の申し込みはこちらから。
世界トップ級の「ゲーム配信者」がサービスを移籍
まず、Ninjaがどのくらい稼いでいるのか、そこを知るところから始めよう。
先ほど確認したところ、彼のTwitchでのフォロワーは1471.6万人(!)いる。これだけの人間が定期的に彼のゲームプレイ動画を見ているわけだ。
また、2018年の記事によれば、彼には16万人の「スポンサー」がいる。Twitchにおけるスポンサーとは、いわゆる有料の会員登録であり、Twitch側に毎月一定額を支払うと、その一部が運営を通じて登録したクリエイターにも支払われる。まさに、そのクリエイターの「スポンサーになる」制度である。スポンサー登録した場合、運営側からは毎月、登録者1人当たり数ドルが支払われる。これだけで、彼は毎月数百万ドル単位のお金を手にしている計算だ。
そして、1470万人を超えるフォロワーを得ているということは、それだけメディアとしての価値がある、ということでもある。レッドブルと広告スポンサー契約をしており、相応の契約料が支払われている、と考えていいだろう。アフィリエイトなども配信に組み込めるし、いわゆる「投げ銭」機能もある。これだけ注目を集めていれば、マネタイズの方法には事欠かない。
要は、彼はゲームを軸にしたストリーマーとして、世界トップクラスの注目を集める人間であり、相応の市場を築いていた、ということなのだ。
現在、ゲームのストリーミング配信については、世界的にはTwitchのシェアが大きい。ユーザーによるストリーミング配信全般でいえばYouTubeが圧倒的なシェアを持つが、ゲームに関して言えばTwitchが多い。日本とはかなり状況が異なる。ゲームに特化した形なのでユーザー層が読みやすく、ことゲームや関連分野の商品については広告価値も高い。
Microsoftはこうした状況を追いかけるために、2017年、それまで展開していた「Beam」という配信サービスを名称変更、「Mixer」とし、より積極的なビジネス展開を行っている。
TwitchのトップストリーマーだったNinjaが活躍の場をTwitchからMixerに移すというのは、当然大きな決断である。移籍条件などは明らかになっていないが、金額面も含め、相応の利点が彼にあった、と考えるのが自然だ。少なくとも、これまでNinjaとTwitchの関係が悪い、という話は出てきたことながく、Mixer側の条件がかなり良かった、と考えていいのではないか。
Microsoftは、それだけの人物を移籍させられるだけの経営リソースをMixerに投じていると考えられるわけで、このジャンルでの競争激化を示すニュースでもあるのだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
「Xが情報収集に役立たない……」熊本地震で不満の声続出 「Twitterを返して」
-
2
メルカリ、梨の転売疑惑に「盗品の出品は確認されず」 誹謗中傷には利用制限も
-
3
はてな、11億円流出の調査報告書を公開 偽警察、口外禁止、残業・休出200時間超、孤立……ほころびが連鎖
-
4
「こんなのに追われたら……」急斜面もやすやす爆走、中国製の車輪付き四足ロボのデモ動画が話題 最高時速20km超
-
5
検索結果に「詐欺ではありません」と表示させる詐欺手口、警視庁が注意喚起 AI要約も餌食に
-
6
農水省の“クソダサ”ポスター話題 「AIよりよっぽど良い」の声も 担当者に狙いを聞いた
-
7
Z世代に聞く次の流行、「AIイラスト」が1位に 「Claude Code」も上位
-
8
東野圭吾さん死去、Xなどで追悼相次ぐ 「ガリレオ」など数々の人気作、エンジニアから転身
-
9
NVIDIAやMicrosoftなど30社超、オープンAIの防御ツール共同開発の「Open Secure AI Alliance」設立
-
10
「あ、その情報メモしたい!」を叶えるワイヤレスイヤフォン、Nothing「Ear (3a)」
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR