市販プロジェクターで“非破壊検査”、宇宙線でピラミッドを「透視」──イノベーション・ジャパン2019で見た注目技術(1/2 ページ)
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と科学技術振興機構(JST)が主催する、大学やベンチャー企業のテクノロジー見本市「イノベーション・ジャパン2019」(東京ビッグサイト)が8月29~30日に行われた。
イノベーション・ジャパン2019では、先端技術からライフスタイルまで幅広いジャンルにおける、500以上の研究成果が展示された。中でも筆者が注目した技術を紹介していく。
市販プロジェクターで非破壊検査!?
「市販のプロジェクターと焦点距離200mmほどのカメラがあれば非破壊検査ができる」──こんな技術を展示しているのは、奈良先端科学技術大学院大学の向川康博教授の研究室だ。
一般的に、調べたい物体の内部を壊さずに検査する方法としてはX線スキャンやレントゲン撮影が挙げられる。しかし専用の機材や取り扱い資格が必要になることから、導入コストは安くない。
向川研究室が提案するシステムは、市販の比較的安価な機材で収まる上、資格も必要としないのがメリットだ。
会場のデモでは比較的高価なプロジェクターを使用していたが、モバイルプロジェクターでも可能だという。
仕組みは、投影された正弦波パターンの解析がキモだという。
まず調べたい物体に対し、プロジェクターから正弦波のパターンを投影する。これをカメラで撮影し、写った周波数を解析する。
プロジェクターから投影された正弦波パターンは投影距離に応じて広がるため、これをプロジェクターとは違う画角のカメラで撮影すると、周波数の解析から、特定の奥行きの信号のみを抽出することができる。
デモでは、10ミリ間隔で設置された4層の透明なシートにそれぞれA~Dの文字を印字。何も解析をしなければA~Dの全ての文字が写真に写ってしまうが、周波数の解析により「B」の文字のみを抜き出している様子を確認できた。
金属など光をほぼ透過しない物体には不向きだが、人の肌や飲食物などある程度光が奥まで届く物体に向いているという。例えば、皮膚下の水分分布や、果物などへの異物混入の有無を簡易的に知る手段として期待できるとしている。
現在は精度を高めている段階。人の肌は約1~2センチまで、果物は全域の内部撮影を目指すという。
ピラミッドやマヤ遺跡、ダム、富士山を「透視」
2017年に、エジプト・クフ王のピラミッドに未知の巨大空間があることが新たに分かった。これは名古屋大学の森嶋邦博特任助教が中心となって進めている「宇宙線ラジオグラフィー」という非破壊的な空間探査システムによる成果だ。
ピラミッドのような巨大な構造物の内部を見ることができる宇宙線ラジオグラフィーとはどんな技術だろうか。
人の目には見えないが、「ニュートリノ」や「ミューオン」といった宇宙由来の微粒子が日常的に地上へ多く降り注いでいる。
宇宙線ラジオグラフィーではミューオンに注目。数キロ単位で物体を透過するというミューオンの性質を利用して、巨大構造物を透過したミューオンの量を専用のフィルム(原子核乾板)で計測する。
透過した経路が石材ばかりであれば、途中でミューオンが石材にぶつかるため、観測できるミューオンの量は減る。一方、途中に空間があれば観測量は増える。内部を見る仕組みとしては、レントゲン撮影と同じだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
メルカリ、梨の転売疑惑に「盗品の出品は確認されず」 誹謗中傷には利用制限も
-
2
Anthropic、「Claude Opus 5」公開 Fable 5に迫る性能を半額で――サイバー安全策は緩和、拒否時は自動フォールバックも
-
3
検索結果に「詐欺ではありません」と表示させる詐欺手口、警視庁が注意喚起 AI要約も餌食に
-
4
「iPhone高騰」はこれからも続く? 中国CXMTに近づくApple、メモリ競合へのけん制が不発に終わりそうなワケ【後編】
-
5
「ニューロマンサー」実写ドラマ、Apple TV+で2027年1月配信開始へ
-
6
「こんなのに追われたら……」急斜面もやすやす爆走、中国製の車輪付き四足ロボのデモ動画が話題 最高時速20km超
-
7
海外の新作バカゲー「電車アタック」にマンガ家が感心した理由 ブッ飛んだ内容と完成度の高さ、そして“日本”
-
8
「めっちゃカメレオン」公式Discord乗っ取り 担当者PCがマルウェア感染、管理者が全員BANに 現在は復旧
-
9
暑さ対策が熱い! 「猛暑対策展」で感じた、転んでもただでは起き上がらない日本人のエネルギー
-
10
スーパーに並んだ「ごちゃごちゃ生成AIポップ」が物議 “看板王”こと、きぬた歯科院長「これはアリ」
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR