「Gatebox」量産モデル、発売延期から1年の成果 「音声合成は3回やり直し」、武地CEOに聞く舞台裏(2/4 ページ)
具体的には、ヒカリから話し掛けてくる機能の追加、Clovaとの連携、合成音声の採用による会話パターンの拡充──といった課題があった。同社は18年10月ごろ、ゼロから設計を見直そうと決めたタイミングで、LINEのClova開発チームに協力を仰いだという。
ただ、道のりは甘くなかった。一例として、武地CEOは「音声合成のベースになる音声の収録は、3回やり直しました」と苦笑いする。
一般に合成音声は、録音した声から特徴を抽出し、再合成して作られる。そのためには、あらゆる発音やイントネーションの特徴を網羅する必要があり、キャラを演じる声優が数時間にわたり、例文を読み上げる声を録音する──という作業が必要になる。
武地CEOによると、1回目と2回目は汎用的な例文を使用したため、再合成した音声は「一般的な音声合成と同じで流ちょうだけれど、いやしを感じないものになってしまった」という。「『マスターさん』と呼び掛ける声のテンションが低く、聞いていてどんよりしました」
そこで3回目は例文を改め、「おかえりなさい」「頑張ったね」のように、ヒカリが実際に言いそうなせりふを多めに収録した。「数時間、ニュース原稿のような例文を読み続けると、どうしても声優のテンションが長続きせず、暗いトーンになっていく」と武地CEO。例文を差し替えた結果、抑揚があり、感情が現れた声を再現できたと自負する。
「ファイナルファンタジー」レベルのクオリティーを目指して
キャラクターのデザインも、「より現実的な衣装」に見直した。初期モデルと同様、恋愛シミュレーションゲーム「ラブプラス」などを担当した箕星太朗さんにデザインを依頼し、「エプロンをよりリアルな質感にしてほしい」など議論を重ねたという。
箕星さんのデザインを基に3Dモデルを作成する際、Gatebox社内でも“理想の嫁”を巡って議論が白熱。「ヒカリは真正面を向いていることが多く、限定モデルのデザインを踏襲するとポニーテールが隠れてしまうので、見えやすいように位置を微調整する」「襟元のボタンなど細かい部分にも『骨』を入れ、ヒカリの動きに応じて揺れ動くようにする」など、アイデアを盛り込んだ。
武地CEOは「当社のクリエイターたちは『見ているだけで命を感じるキャラにしたい』『ファイナルファンタジーのキャラと並んでいても、違和感がないレベルに仕上げる』と意気込んでいました」と笑う。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
「Xが情報収集に役立たない……」熊本地震で不満の声続出 「Twitterを返して」
-
2
メルカリ、梨の転売疑惑に「盗品の出品は確認されず」 誹謗中傷には利用制限も
-
3
農水省の“クソダサ”ポスター話題 「AIよりよっぽど良い」の声も 担当者に狙いを聞いた
-
4
はてな、11億円流出の調査報告書を公開 偽警察、口外禁止、残業・休出200時間超、孤立……ほころびが連鎖
-
5
「こんなのに追われたら……」急斜面もやすやす爆走、中国製の車輪付き四足ロボのデモ動画が話題 最高時速20km超
-
6
検索結果に「詐欺ではありません」と表示させる詐欺手口、警視庁が注意喚起 AI要約も餌食に
-
7
TSMC熊本工場、段階的に通常操業へ 熊本の地震で一時中断、従業員の無事確認 台湾報道
-
8
熊本「通れた道」マップ、トヨタが公開 ホンダも「通行実績情報マップ」
-
9
Z世代に聞く次の流行、「AIイラスト」が1位に 「Claude Code」も上位
-
10
東野圭吾さん死去、Xなどで追悼相次ぐ 「ガリレオ」など数々の人気作、エンジニアから転身
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR