ディープラーニングに向くのは「100点を取らなくていい現場」 東大・松尾研発のVC代表が語る“AIの狙い目”(2/2 ページ)
ディープラーニングと相性が良い領域
冒頭で紹介した通り、田添代表は「ディープラーニングに向いているのは、100点を取らなくていい現場です」と指摘する。その現場とは、ある程度経験のある職人の目が必要だが、そこそこの水準を保てていれば問題なさそうな領域――とも言い換えられる。
田添代表は「われわれの投資先ではないのですが」と笑いながら、AIベンチャーのRidge-iが公開している、ごみ焼却施設におけるAI活用事例を紹介する。同社は荏原環境プラントと共同で、AIでごみを画像認識する仕組みを開発。ごみを効率的に焼却するには、クレーンを操作して適度にごみをかき混ぜたり、燃えにくいごみを除外したりする必要がある。これまでは熟練作業員がクレーンを操作していたが、ディープラーニングによる画像認識と高度制御装置によるクレーンの自動操作によって、これらの作業の多くを自動化できたという。
「ごみの投入やかくはんのクレーン操作に、100点の答えはありませんよね。何か問題が起きても、人が介入してカバーすれば間に合います。そうしたビジネス的に大事だけれど細かなミスがクリティカルではない領域は、AIで代替する価値があるでしょう」(田添代表)
「一方で、食やクルマ、医療など人に直接関係していくる領域は、ちょっとしたミスが致命的な問題になるので、参入するハードルも高いといえます」(同)
ディープラーニングによる画像認識は、食品工場の製造ラインにおける原材料の不良検知などでもよく使われている。田添代表は、工場関係の事例は今後ますます増えていくだろうと予想する。
「工場の検品作業について、日本では人手不足が、海外では品質を保てないことがそれぞれボトルネックになっています。社会的に解決する意味のある領域はディープラーニングが入り込みやすいです。人間の作業をそのまま代替するだけでは費用対効果はたかがしれているので、そこからどれだけ付加価値を付けられるかでしょう」
自身もコンサルタント出身である田添代表は、「技術だけでなくビジネス全体を考えられる、コンサルタントのような人材の需要はとても高いです」と話す。技術に長けているベンチャーは数多くあるが、両方を兼ね備えた人材は日本にはなかなかいないという。
「ディープラーニングの全体像は、正直な所まだ分かりません。私たちもダメだと思う所には投資しませんが、よく分からないものはいったん保留して納得いくまで考えます。ディープラーニングが今後コアな技術になるのは間違いないでしょう」
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
なぜ酒蔵の許諾なしに? 「VTuberコラボ日本酒」騒動、主催者が経緯説明 仲介者による調整で「準備進んでいると認識」
-
2
「食事量は1日1200kcal以下、でも肥満」な人を14日間追跡調査 痩せない理由は……米コロンビア大などの研究
-
3
本物そっくり“AI生成レシート“が経費精算の脅威に マネフォ「自力で見破るのは難しい」 企業はどう備える?
-
4
かっぱ寿司「配布前のコラボグッズ、フリマで買わないで」 プリキュアコラボ発表日に注意喚起
-
5
「菜の花がおかしい」――イラストレーター制作うたうマラソン大会ポスターに指摘相次ぐ 事務局がAI使用明かす【訂正あり】
-
6
「ペンギンを返して」→「3匹全部採用して」 批判殺到のSuica新キャラ、ファンアートが空気を変えた? SNSの声
-
7
藤井風のリサイタル、公式サイトがインターネット老人会すぎると話題 公民館のチラシみたいだけど東京ドーム開催
-
8
「ランジェリーパープルじゃない」「買おうと思ってたのに」 iPhone 18 Pro/Pro Maxの色に落胆の声
-
9
「iPhone Duo」純正ケース話題、「面白いけど高い」……1万4800円と2万4800円
-
10
デジタル庁に不正アクセス、個人情報24.6万件漏えいか 各府省庁の職員情報など
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR