これからのAIの話をしよう(日本編)
なぜ日本は人工知能研究で世界に勝てないか 東大・松尾豊さんが語る“根本的な原因”(1/4 ページ)
ディープラー二ング(深層学習)の登場で“第3次人工知能(AI)ブーム”が訪れ、数年が経過しました。今では多くの企業がAIのプロジェクトを進め、自社製品やサービスに取り入れようと動いています。
世界で繰り広げられている人工知能開発競争の中心にいるのが、米国や中国です。米国ではGoogle、Apple、Facebook、Amazon.com(GAFA)や、IBM、MicrosoftなどのIT企業が、し烈なAI人材の獲得競争を繰り広げています。日本は米中に比べると、AIの研究開発において世界で存在感を示せていないのが現状です。
日本における第3次人工知能ブームのキッカケとなった「人工知能は人間を超えるか」(2015年)の著者・東京大学の松尾豊特任准教授は、「日本は今のままでは世界に勝てない。その現実と向き合う所から始めないといけない」と言っています。
日本がAI開発で世界と戦うにはどうすればいいのか。今の日本が抱える問題や現状、これから日本が取るべき戦略について、松尾さんに聞きました。
(聞き手:デコム松本健太郎)
(編集・構成:ITmedia村上)
目次
» 「日本は勝てない」現実と向き合う所からスタート
» だらしない大企業 ベンチャー企業はチャンス
» 人材獲得競争は「2013年に勝負はついていた」
» 大企業が挑戦しない理由
» ディープラーニングは汎用技術
「日本は勝てない」現実と向き合う所からスタート
――米国や中国に比べ、日本は人工知能開発で遅れているといわれています。なぜ日本はこの競争に負けているのでしょうか。
松尾さん それは、日本がインターネットで世界に負けた理由と似ているのではないでしょうか。
一つは、技術の取り入れ方が非常に遅い点。1990年代後半には若者たちが「これからはネットの時代だ!」と言っていたのに、上の年代の人たちが理解しませんでした。「信用できない」「オタクが使うだけ」と否定し、新しいものが生まれなかった。
今もそれは同じです。一口にAI、人工知能といっても、新しい技術の中心であるディープラーニングに対して、従来の分野へのこだわりが強く、拒否感が強い人も大勢います。
もう一つは、若い人が力を持っていない点。若い人が自分の裁量で自在に動けるような社会環境になっていません。彼らに裁量を与えて何かやらせれば絶対に何か起こるんですけど、それをやらせないから変化が起こらない。
現状は、基本的にもう勝ちようがありません。その現実と向き合うところからスタートです。この25年、グローバルで勝った日本のIT・Web系企業はないじゃないですか。ずっと負け続けて、人工知能でも負け続けてますよね。
日本のお家芸だった半導体や家電も海外勢に負け、自動車が何とか健闘しているという状況です。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
これからのAIの話をしよう
いま話題のAI(人工知能)には何ができて、私たちの生活に一体どのような影響をもたらすのか。AI研究からビジネス活用まで、さまざまな分野の専門家たちにAIを取り巻く現状を聞いていく。
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
Google、プライバシーポリシーに「Gmail」「Googleフォト」のデータを広告に使う例外を追加 回避方法は
-
2
「年齢は合ってますが、人間ではありません」 6歳の飼い猫に届いた“進研ゼミの案内” なぜ届いたのかベネッセに聞いた
-
3
「5年でバッテリーが使い物にならなくなる」は本当か テスラ「モデル3」5年目点検で分かったこと
-
4
GMO熊谷代表「社内ホワイトハッカーが事前に指摘」も対策遅れ、国に「能動的サイバー防御」要請 「責任転嫁では」SNSで批判も
-
5
グッスマに不正アクセス、公式EC閉鎖 会員の住所や注文履歴など漏えいか 再開目処立たず
-
6
ジョーシンへの不正アクセス、最大623万件漏えいか 運転免許証2件・マイナカード1件なども
-
7
野村総研、サイバー攻撃時の「能動的なシステム停止」を支援する新サービス
-
8
タイムズカー流出で顧客らが損害賠償求め運営会社提訴へ サイト開設の弁護士が記者会見
-
9
Xの「いいね」長押しで1ドル送金 マスク氏が“投げ銭”機能を予告
-
10
「能動的サイバー防御」きょう開始 警察・自衛隊などが攻撃元サーバを無害化 高市首相も狙いを説明
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR