「日本は存在感が薄い」東大AI研究者が危機感 国際会議でも「日本人同士で閉じこもっている」
「機械学習の国際会議は年々参加者が激増しているが、日本は論文占有率でも研究者の数でも存在感が薄い」――AIデータ活用コンソーシアムで理事・副会長を務める、東京大学の杉山将教授は、こう話す。
AIデータ活用コンソーシアムは、企業や研究機関が効率的にデータを活用できるようなプラットフォームやコミュニティー作りを目指す団体。AIの研究やデータ活用を行う教育機関や企業らが共同で、19年3月に設立した。
日本はAIの技術開発とビジネス活用で米国や中国に後れを取っている――というのが通説だが、杉山教授は国際会議への参加を通してそれを実感したという。11月29日に開催された「AIデータ活用シンポジウム 2019」で、同氏が日本のAI研究への危機感を語った。
「日本人研究者だけで固まっている」 国際会議で感じた危機感
杉山教授は、「ICML」(International Conference on Machine Learning)、「NeurIPS」(Neural Information Processing)という2つの国際会議への参加を通して、危機感を抱いたという。
ICMLの参加者は、2013年は900人だったが、毎年数百人から数千人単位で増え、19年には6200人になった。NeurIPSも同様で、13年は1200人だったが、毎年2倍近く参加者が増え、18年は8000人以上が参加した。
しかし、杉山教授によると「日本人の参加者と論文占有率は全体の数%程度」。中国や韓国の研究者は欧米の大学や企業に所属することも多く、両会議でも活発に議論していたが、日本人の研究者たちは日本人同士で固まり、他のコミュニティーに溶け込めていなかったという。
杉山教授は「休憩時間になっても、日本人は日本人としか話さない。一方で、海外の研究者や学生たちはコミュニティーに溶け込み、学会の運営にも関わる人も多い」と指摘する。
国際会議をスポンサードする企業も、2000年代前半は米Googleや米IBM、米Microsoftなど米国のIT大手が多かったが、2000年代後半からは中国Tencent、中国Baiduなど中国企業が増え、2010年代からはスタートアップも増えてきたという。最近では、スポンサー企業になることすら難しいとしている。
「スポンサー企業は、会場の近くで自社イベントを開くなどして、活発に採用活動をしている」と杉山教授。優秀な学生や研究者たちと接点を持ち、採用につなげたいと考える企業の熱量を感じていると語った。
米中の“2強”といわれるAI業界の現状については、「技術開発はアメリカの一強。GAFAの研究所は世界中にあり、欧米では大学の研究室ごと買収されるケースも多い。ビジネス活用ではアメリカと中国が支配的だろう」と指摘。日本が米中に追い付くためには、研究者や企業関係者のマインドセットを変える必要がありそうだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
「ペンギンを返して」 Suica新キャラ候補3案公開でSNSに戸惑いの声 一般投票は8日から
-
2
大雨で「首都圏外郭放水路」稼働 濁流が“地下神殿”を満たすまでの動画公開 国交省
-
3
幻の「ちいかわ」コラボ第3弾皿、捨てちゃうの? くら寿司に聞いてみた
-
4
「菜の花がおかしい」――イラストレーター制作うたうマラソン大会ポスターに指摘相次ぐ 事務局がAI使用認め謝罪
-
5
Duolingoの新アイコンが「気持ち悪い」 世界のユーザーから「元に戻して」の声
-
6
農水省の“クソダサ”ポスター話題 「AIよりよっぽど良い」の声も 担当者に狙いを聞いた
-
7
くら寿司、「ちいかわ」グッズ不正で「警察と相談、厳正に対処」 メルカリと連携も
-
8
メルカリ、くら寿司ちいかわ騒動巡りコメント 出品削除・禁止の有無は
-
9
Suica、3つの新キャラ候補を発表 ネット投票で決定へ ペンギンは27年3月末で卒業
-
10
OpenAI、ミレニアム懸賞問題「ナビエ・ストークス方程式」をAIが解決したと発表 数学者は経緯に反発
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR