災害発生時の「現金最強説」は本当か キャッシュレス決済の現実(2/3 ページ)
現金最強説は本当か
すると、「やはり現金(キャッシュ)がいざというときには一番頼りになるのでは?」という話が出てくるわけだが、これはある意味で正しい。キャッシュレス先進国といわれる北欧でさえ、現金はなくなっているかと思いきや、街中の商店では必ずといっていいほど見かける。近年急速にキャッシュレス決済環境が普及しつつある中国においても、出番が減っただけで相変わらず現金は有効だ。
おそらく、日本でキャッシュレス決済が相当のレベルまで普及したとしても、現金が決済手段としてマイナーになることは当面ないだろうと筆者は予測している。
別にサイゼリヤやラーメン屋で食事するためというわけではないが、キャッシュレス派の筆者も必ず数千円程度の現金は持ち歩いている。これにクレジットカード数枚と電子マネー(主にモバイルSuica)、コード決済数種類を組み合わせるのが現状の支払い手段だ。
釣り銭のやりとりをしなくていいのと、後で明細を把握できるのがキャッシュレス派である理由だが、別に現金そのものを拒否する気はない。あくまで便利さを追求するからキャッシュレス利用に偏っているだけで、場合によって決済手段を使い分けるのが妥当だろう。
「キャッシュレスというのは都市部に住んでいる人の話」という指摘もある。しかし、地方都市などでもイオンや地元のスーパーが「WAON」や「楽天Edy」に対応していれば、普段使いの決済手段は電子マネーになることが多く、実際には「釣り銭の勘定や受け渡しが面倒なので、お札をカウンターで渡してICカードにチャージしてから支払う」といった高齢者や主婦の方が多いと聞く。「それってキャッシュレスの意味ある?」と感想が出てきそうな話だが、「小銭を扱いたくない」という理由で電子マネーを使うのは利便性の面で理にかなっており、ある意味で正しい使い方なのだと思う。
問題は現金にこだわるあまり、そのデメリットを失念することだ。
分散しないことによるリスク
現金は確かに万能の支払い手段であり、特に日本においてはオンライン通販でさえ現金で支払う手段がある。しかし現金を手元に置きすぎるのは危険だ。例えば空き巣や強盗が家に入れば全て奪われる可能性があるし、多額の現金を持ち歩けば紛失リスクや強盗に襲われる可能性はやはり無視できない。
このような形で失った現金は、運が良ければ戻ってくるかもしれないが、たいていの場合は諦めざるを得ないだろう。災害のケースでも同様で、家が浸水や火災などの被害を受ければ、金庫や“タンス預金”に保管しておいた現金は失われる危険性が高い。
キャッシュレス決済の分散化と同じで、現金もなるべく分散管理し、至急必要ではない分については銀行に預けるのが正しい。昨今、長く続く低金利時代により銀行の収益源が限られ、口座維持手数料を請求するという話が持ち上がり話題になっているが、銀行が提供するサービスや安全性を考えれば、それだけの価値はあると筆者は考えている。何事も偏り過ぎはよくないというわけだ。
海外は大災害にどう対処? ハリケーン「サンディ」の事例で分かったこと
「キャッシュレスと災害」というと、海外の事情も気になるところだ。そう考えて筆者は過去に、世界中のニュースアーカイブをたどり「キャッシュレス先進国ではどう対処していたのか」について調べていたのだが、思ったほど記録に残っていなくて驚いたことがあった。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
メルカリ、梨の転売疑惑に「盗品の出品は確認されず」 誹謗中傷には利用制限も
-
2
「こんなのに追われたら……」急斜面もやすやす爆走、中国製の車輪付き四足ロボのデモ動画が話題 最高時速20km超
-
3
検索結果に「詐欺ではありません」と表示させる詐欺手口、警視庁が注意喚起 AI要約も餌食に
-
4
はてな、11億円流出の調査報告書を公開 偽警察、口外禁止、残業・休出200時間超、孤立……ほころびが連鎖
-
5
Z世代に聞く次の流行、「AIイラスト」が1位に 「Claude Code」も上位
-
6
東野圭吾さん死去、Xなどで追悼相次ぐ 「ガリレオ」など数々の人気作、エンジニアから転身
-
7
NVIDIAやMicrosoftなど30社超、オープンAIの防御ツール共同開発の「Open Secure AI Alliance」設立
-
8
「あ、その情報メモしたい!」を叶えるワイヤレスイヤフォン、Nothing「Ear (3a)」
-
9
有識者はGoogleやX、Meta、ドワンゴを名指しで批判……総務省、偽広告や誹謗中傷に発信・拡散前の対策求める
-
10
暑さ対策が熱い! 「猛暑対策展」で感じた、転んでもただでは起き上がらない日本人のエネルギー
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR