テック・イン・ワンダーランド
リストバンドは“魔法の鍵”──ウェアラブル端末が変える、テーマパークの姿(3/4 ページ)
例えば、ディズニーのテーマパークに登場するミッキーマウスなどのキャラクターが、あなたが何も伝えていないのにあなたしか知らないようなことをしゃべり出したら、それは魔法に見えるのではないでしょうか。ミッキーマウスは魔法使いですから、きっとそんなこともできてもおかしくありません。実際、ミッキーマウスはかつてゲストと普通に(?)会話をしていたことがあるので、そんな魔法も可能になるはずです。
その裏では、こんなことが行われるはずです。マジックバンドからはゲストの情報を引き出すこともできますので、キャストやキャラクターはその読み取り結果から、目の前のゲストがどんな目的でここに居るのかが分かるわけです。ディズニーでは舞台上で演じることから、従業員をキャストと呼んでいます。演者であるキャストは、ゲストの来園理由を理解した上で即興劇という仕事をこなすのです。
もしかしたら、セキュリティに気をつかっている人は「個人情報がバンドに収められているのは怖い」と思うかもしれません。マジックバンドを万が一落としてしまったら、決済され放題ですし、個人情報も漏えいしてしまうのではないか──と懸念する人もいるのではないでしょうか。
ディズニーはその点に関してもしっかりと考えています。正確にはマジックバンドそのものには個人情報は記録されておらず、あくまで「ID」だけが格納されており、個人情報はシステムのサーバ内に保管されています。入園時や決済時は、そのIDだけを読み取り、オンラインでシステム上のアカウントと突合、処理を行っています。
そのため、ゲストがマジックバンドを落としたり、盗まれたりした場合は、スマホを用いて自分のアカウントとマジックバンドとのリンクを切れば、不正利用を防ぐことができます。高額な商品を購入する場合は、マジックバンドで「ピッ!」としたあと、4桁のPINコードを入力する必要もあるため、被害を抑えられます。
もう一つ気になるのは、プライバシーの問題。上記でも紹介したように、かつてウォルト・ディズニー・ワールドでは、ゲストと会話できるミッキーが存在していました(イメージとしては、東京ディズニーシー「タートルトーク」のミッキー版)。遠隔センシングと位置情報の履歴を基に、「キミ、ホーンテッドマンションに行ったよね? 後ろにゴーストがついているよ、ハハッ!」というような会話もあったようですが、一部テストにとどまり、現在は行われていません。
また、ゲストが何も伝えていなくても、キャストがマジックバンドからの情報を基に「誕生日おめでとう!」と祝ってくれることも、現在は行われなくなりました。マジックバンドのロールアウト後、魔法を超えたプライバシーの課題があると捉えられたようです。といっても、誕生日を迎えるゲストの多くは自ら「誕生日です!」と書かれた無料のバッジを付けていますので、多くの場所でキャストやキャラクターに祝ってもらえます。
こういったプライバシーの問題は現在でも残っているため、ウォルト・ディズニー・ワールドでは遠隔センシングを拒否する方法として、近接通信のみが可能な従来型のカードも提供しています。
マジックバンドは日本には来ないの?
このように、テーマパークは技術を通じ、来園者に魔法のような体験を提供する方法を模索しています。インタラクティブワンドやマジックバンドはその一例と考えられるでしょう。おそらく、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンのパワーアップバンドも優れたアイテムになるはずです。
ところで、この仕組みは東京ディズニーリゾートには導入されないのでしょうか。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
テック・イン・ワンダーランド
老若男女の笑顔があふれるテーマパーク。その裏側には、AR/VR、ビッグデータ分析など来園者をもてなす最新テクノロジーの数々が隠れています。人々を魅了するエンターテインメントは、どのようにして創られているのでしょうか。
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
「Xが情報収集に役立たない……」熊本地震で不満の声続出 「Twitterを返して」
-
2
メルカリ、梨の転売疑惑に「盗品の出品は確認されず」 誹謗中傷には利用制限も
-
3
はてな、11億円流出の調査報告書を公開 偽警察、口外禁止、残業・休出200時間超、孤立……ほころびが連鎖
-
4
「こんなのに追われたら……」急斜面もやすやす爆走、中国製の車輪付き四足ロボのデモ動画が話題 最高時速20km超
-
5
検索結果に「詐欺ではありません」と表示させる詐欺手口、警視庁が注意喚起 AI要約も餌食に
-
6
農水省の“クソダサ”ポスター話題 「AIよりよっぽど良い」の声も 担当者に狙いを聞いた
-
7
Z世代に聞く次の流行、「AIイラスト」が1位に 「Claude Code」も上位
-
8
東野圭吾さん死去、Xなどで追悼相次ぐ 「ガリレオ」など数々の人気作、エンジニアから転身
-
9
NVIDIAやMicrosoftなど30社超、オープンAIの防御ツール共同開発の「Open Secure AI Alliance」設立
-
10
「痺れるほどにミスを繰り返す」Gemini 3.6 Flashは変わった? 公開から1週間、当初のおバカ回答を今検証する
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR