AppleとSpotifyのストリーミング報酬比較で浮かび上がる、音楽コンテンツビジネスの次の戦略(1/2 ページ)
米Wall Street Journal(WSJ)が、「Appleは、ストリーミングの報酬を1回当たり約1円支払い、Spotifyの2倍に相当する」といった内容の記事を報じた。果たしてこの数字は、信用できるのだろうか。音楽ビジネスにおける筆者の長年のパートナーである、あるレーベルのトップ、田中氏(仮名)が、配信ビジネスの実績を元に、この記事について感想を語ってくれた。以下は、田中氏への聞き取りを基に、一問一答の文章としてまとめたものだ。
―― WSJの報道についての感想はありますか?
田中氏 「1回当たり1円」という表現は、微妙な気がしますが、SpotifyよりApple Musicの方が1ストリーミングあたりの支払い単価が多いのは事実です。ただ、弊社は、約2500曲を提供している弱小レーベルです。数十万、数百万曲を提供している大手レーベルやビッグアーティストの事例と同列に語ることができない点は、承知してください。
―― SpotifyとApple Musicでは、具体的にどの程度の差があるのですか?
田中氏 この表をご覧ください。プラットフォーム側が支払う、弊社楽曲の1ストリーミングあたりの平均単価です。2020年の第4四半期で比較すると、Apple Musicが0.76円、Spotifyが0.28円ということで、3倍近い開きがあります。ただし、弊社のような弱小レーベルは、プラットフォームと直接取引できません。間にアグリゲーターが入り、2割の手数料が引かれた金額がレーベルに入金されます。
―― なぜ、このような開きが出るのでしょうか?
田中氏 残念ですが、プラットフォーム側が詳しい情報を公開していないので、われわれのような末端のレーベルからすると、ブラックボックス状態で、何も分かりません。分かっているのは、全収入を全再生回数で案分した単価をベースにして、各楽曲の再生回数に応じて分配している、ということだけです。
ただ、Spotifyには無料ユーザーが存在します。これは私の推測ですが、無料ユーザーが聴いた楽曲の報酬は広告費の中から支払われ、その単価はかなり低いと思われます。その一方で、Apple Musicは、全て有料ユーザーです。Apple Musicの方が報酬が多くなるのは、そのためではないかと思われます。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
なぜ酒蔵の許諾なしに? 「VTuberコラボ日本酒」騒動、主催者が経緯説明 仲介者による調整で「準備進んでいると認識」
-
2
かっぱ寿司「配布前のコラボグッズ、フリマで買わないで」 プリキュアコラボ発表日に注意喚起
-
3
「食事量は1日1200kcal以下、でも肥満」な人を14日間追跡調査 痩せない理由は……米コロンビア大などの研究
-
4
本物そっくり“AI生成レシート“が経費精算の脅威に マネフォ「自力で見破るのは難しい」 企業はどう備える?
-
5
「菜の花がおかしい」――イラストレーター制作うたうマラソン大会ポスターに指摘相次ぐ 事務局がAI使用明かす【訂正あり】
-
6
「ペンギンを返して」→「3匹全部採用して」 批判殺到のSuica新キャラ、ファンアートが空気を変えた? SNSの声
-
7
藤井風のリサイタル、公式サイトがインターネット老人会すぎると話題 公民館のチラシみたいだけど東京ドーム開催
-
8
「iPhone Duo」純正ケース話題、「面白いけど高い」……1万4800円と2万4800円
-
9
「ランジェリーパープルじゃない」「買おうと思ってたのに」 iPhone 18 Pro/Pro Maxの色に落胆の声
-
10
松本デジタル相、24.6万件漏えい可能性について説明 「既知の脆弱性を対応前に悪用」
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR