GIGAスクール構想スタートで、学校はどう変わるのか ネット時代に頼れる教師の姿は(3/3 ページ)
先生たちの苦悩と工夫
もう少し細かく掘り下げてみたい。ネットのトラブルを先生に相談するようになったのは、ネットリテラシー教育を先生自らが行うようになってきたというという背景がある。こうした情報モラル教育に関して自信がある先生は、半数を超える程度である。
情報モラル教育が得意でない理由としては、ネット利用の経験がない、浅いなどが挙げられる。特に40代・50代の先生は、プライベートでネットを使う機会があまりないという事情もあるだろう。それをカバーするために学校内で一種の分業化が行われているのが見て取れる。若手教員はネット教育に、ベテランの先生は道徳教育にといった具合に、住み分けされているのだ。
ネットトラブル発生後の再発防止策としては、小学生では全体へのモラル教育の実施、中学生では当事者への個別指導がトップとなっている。中学生のトラブルは個人情報がらみが多く、全体への指導になじまないということもあるのだろう。
家庭との連携が非常に重視されているのも分かる。子どもたちは家庭でもネットにつながっているせいで問題が途切れない。家庭内での時間は学校側でカバーできないため、 家庭教育との連携ができなければ抜本的な解決が難しいと考えているようだ。
一方で自由記載のアンケートでは、家庭との連携を求める難しさが浮き彫りになっている。そもそも家庭が子どものネット利用を把握していない、問題の意味が分からないなど、保護者側のリテラシーに問題があった場合に、学校側が大きな負担を抱え込むことになると考えられる。
われわれ外部講師は、学校の求めに応じて保護者向け講演も多数行ってきた。学校側が保護者の面倒まで見られないというのであれば、外部講師による講演は有効な手段ではあるのだが、「そうした話を聞く必要がある家庭ほど参加しない」という“絶対的法則”は日本全国どの学校でも変わらなかった。学校でもその辺りに苦慮している。保護者同士、すなわちPTAがネット教育に熱心に取り組まない限り、状況は変わらないように思う。
その点で推奨したい取り組みが、PTA広報誌の電子化である。筆者がPTAとして参加した学校は広報誌をLINEで発行するようになったが、保護者間のコミュニケーションや情報共有が活発化するようになった。気になってはいるが昼間は忙しい、それどころではない、といった事情もあるのだろう。
このコロナ禍では体育館に一同に保護者を集めての講演などは望めないので、オンデマンド型講演にトライしてみるタイミングがやってきたということでもある。
先生としては、情報モラル教育指導力の技能向上が課題になっていることも分かった。
まず先生自身がもう少しネットに詳しくなる必要がある。先生たちは、テンプレートで使える教材や指導方法のセミナーなどを望んでいるのかもしれないが、ネットの問題はどんどん変化しており、そこへの対応力を身に付けるには先生自身がネットに詳しくなるしかないように思う。実態を伴わない指導をしても、子どもたちはすぐに見破ってしまう。
ただ昨今の30代の先生は、非常にLINEを使いこなしており、部活動などでも保護者とのやりとりや生徒への丁寧なフォローアップをLINEで行うようになっている。いつまでも仕事が追いかけてきて先生たちは本当に大変になるが、保護者としては頼もしい限りである。
ネットの問題を学校が取り込む格好になったのは気の毒ではあるが、保護者としても、自分たちだけで子どものネット利用を教育していくのは無理があり、先生という強力な助っ人が参加してくれることはウェルカムである。
今やネット上でモラルを守れるか、ネットリテラシーがあるかどうかは、下手すれば人生すらも左右しかねない重大な問題となった。先生たちには負担が増えて誠に申し訳なく思うが、子どもたちのネット教育を現場の先生たちが真剣に考えてくれるようになったというのは、非常に心強い。
一時期、ネット教育を巡って学校と家庭側とが対立した時代もあったが、家庭から常に求められているのは、頼れる学校・頼れる先生だ。そうした姿に戻ってきた手応えを感じさせる調査結果であった。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
GMO、ランサム被害にあった顧客に新しいPC提供へ 犯行グループは1人の顧客情報公開か
-
2
NECのルータ「Aterm」、PHP脆弱性の影響なし 設定画面URLの「.php」は無関係
-
3
GMO、不正アクセス実行犯の手がかりに懸賞金 1億5000万円規模
-
4
「楽天トラベル」に不正アクセス 顧客情報最大約260万件など流出か 予約者約3.6万件のクレカ情報も
-
5
GMO、攻撃者の公開情報に「アクセスは絶対に控えて」 悪質な拡散者には法的措置を準備
-
6
Google、プライバシーポリシーに「Gmail」「Googleフォト」のデータを広告に使う例外を追加 回避方法は
-
7
IPO目論見書に「AIは人類の存亡リスク」「コードの9割はClaude製」 Anthropicが示した規格外の見立て
-
8
メアドを検索→AIで“その人専用フィッシングメール”を生成する手法、クリック率が約2.7倍に 7000人以上で実験
-
9
So-net、会員情報約259万件が漏えい 一部メールサービスではパスワードも流出
-
10
GMO不正アクセス、犯人側は「27日に顧客のPC攻撃」予告 GMOが端末回収、ホワイトハッカーが解析中
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR