小寺信良のIT大作戦
故郷が「帰ってくるな」という夏休み、「バーチャル帰省」はアリ?(1/2 ページ)
8月に入って早々、全国知事会は新型コロナウイルス対策に関する国への緊急提言をまとめるとともに、国民に対してお盆や夏休みの都道府県境を越える旅行・帰省の中止を要請した。故郷の方が「帰ってくるな」というならば、無理に押し掛けるわけにも行くまい。各県の対応は全国知事会の公式サイトにまとめられているので、地方に実家のある方は、各県の要請状況を確認していただきたい。
故郷から遠く離れて暮らすものにとって、親に会いに行くというのは面倒な部分もある。だが年に1度しか帰らないとするならば、もう親にあと何回会えるのか、数えてみることをお勧めする。筆者も10年前ぐらいに何となく計算してみたことがあるが、日本人の平均寿命と照らし合わせて考えるとあと10回もないということが分かり、衝撃を受けた。普段は親など永遠に生きるものだと思っているが、そんなわけはないのである。
かく言う筆者はというと、コロナ禍に関係ない2019年に故郷である宮崎に移住しており、常時帰省しているようなものだ。両親も続けざまに他界して、今となっては会いに行く親もない。
一方妻の両親は埼玉県に健在で、帰省するとなると逆に地方から首都圏へ戻ることになる。しかし知事からの帰省自粛要請がなくても、この状況で戻るのはリスクが高いため、早々に断念しているところである。
今どきのバーチャル帰省方法
帰省が禁止されると、それに変わる方法を模索することになると思うが、それで思い出されるのが「バーチャル帰省」というワードである。インターネットを使って疑似的に帰省するこの方法が紹介されたのは、2018年の夏ごろだったようだ。当時は「デジタル帰省」ともいわれた。
もちろん当時はコロナ禍とは無関係で、帰省ラッシュに巻き込まれるのがイヤ、実家が遠すぎる、お金がかかりすぎる等々の理由があって考え出された方法だった。またこの頃から、「妻が夫の実家に帰省するのが苦痛」という問題がクローズアップされ始めており、帰るなら一人でどうぞ的な対応になってきた矢先のことであったようだ。
バーチャル帰省とは、要するにネットを使って実家とビデオ通話しようという話に集約するわけだが、当時はまだ高齢者がLINEを使うというのは一般的ではなく、ましてやZoomのようなリモート会議も一般的ではなかったため、なかなか簡単にはいかなかった。
昨今では、かなり事情は良くなってきているのではないだろうか。すでにガラケーの販売が終了して長いことから、高齢者もスマートフォンを持ち始め、地元の若い人やキャリアショップの力を借りてLINEのインストールぐらいはなんとかできるようになっている。
妻とその両親もLINEでよくビデオ通話しており、バーチャル帰省ならしょっちゅうしているような状況だ。
また、高齢者であっても昨今キャリアが提供している低価格プランには興味があるようで、先日もある方から移行手続きの相談を受けた。その方は筆者のいとこの飲み友達という微妙な関係の高齢者なのだが、好奇心旺盛で新しいことは何でもやってみたいのだそうである。ネットの手続きを手伝ってあげる予定だったのだが、運良く甥(おい)っ子さんが立ち寄って、無事設定してもらえたようだ。そんなふうに、通信費の問題も解決しつつある。
もちろん、全ての家庭がそのような状況になっているわけではないだろう。だができることはある。こちらで格安スマホを購入し、低価格プランのSIMをいれてLINEのアカウントも作っておき、完全にセットアップした状態で、なんならスマホスタンドまでくっつけた状態で実家に送りつけるという方法も検討に値する。
帰省といえば、親と一緒に飯を食うというのも一つの楽しみである。バーチャル帰省では懐かしい実家の味が味わえないのが残念だが、そこは仕方あるまい。むしろこちらからお土産を送ったりしてもいいだろう。筆者の場合は、借りている畑で取れた野菜をしょっちゅう埼玉の両親に送りつけている。どっちが実家だか分からない状況だが、親孝行にはなっているだろう。
親がなかなか外出もままならない状況にあるというのであれば、実家付近のおいしいお店からUber Eatsで発注し、実家に送りつけるという手段もある。Uber Eatsや出前館は、このコロナ禍で地方でもかなり浸透してきている。陸の孤島宮崎でも両方サービスインしているぐらいなので、地方都市なら大抵対応しているのではないだろうか。時間を示し合わせてビデオ通話しながら一緒に飯を食う、というのもアリなのかなと思う。
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小寺信良のIT大作戦
ベテランのテクノロジーライターである小寺信良さんがIT分野全般にわたって考察する。
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