iPhoneのカメラは何を目指す プロと一般人の差を埋める「シネマティックモード」の真実(2/5 ページ)
量産の結果「プロの道具」にもなったスマートフォン
今回、AppleのiPhone 13 Proに関する発表を見ながら、「ああ、そこを突いてくるのか……」と興味深く感じた部分がある。
それは、キャスリーン・ビグロー監督、グレイグ・フレイザー撮影監督のコメントを引用したビデオが流れた時だ。二人のコメントビデオは「iPhone 13 Proがいかにプロの撮影に使えるか」という話であり、その行為自体は驚くべきところではない。
重要なのは2人がそれぞれ「iPhoneを使うことで撮影の幅が広がった」という言い方をしていることだ。狭いところで使えるのはもちろん、水ぬれや汚れにも(ある程度だが)強い。何より、業務用カメラのように何百万円という世界ではないので、多数用意して使うことができる。
映像制作の現場はこの10年で大きく変わった。
1つの変化をもたらしたのは、GoProやiPhoneのような、コンパクトで性能の良いカメラを搭載した機器が普及したことなのは間違いない。
もちろん、メインとなるシーンは、しっかりしたシネマ用カメラで撮影する場合がほとんどだ。iPhoneだけで撮影された映画もあるが、それはまだ例外的な存在である。
だが、iPhoneが映画に欠かせないものになってきているのも事実だ。同時に多数のカメラをサブ的に回しておき、そこからの映像も使って作品を組み立てる例が増えているからだ。少し過去の作品になるが、日本映画でも「シン・ゴジラ」は、補助的に回した多数のiPhone映像が各所で使われた。いまやそうした手法は珍しくない。特にiPhone 11以降、「Pro」と名付けられたモデルは、そうした映像制作の流れを積極的に追いかけ、アピールする形で作られている。
今回、iPhone 13 ProシリーズではProResでの撮影に対応した。プロのワークフローの中で、より質が高く、後工程での作業での親和性が高いフォーマットであるProResが使えるのはまさに「プロ向け」の変更といえる。
こうした部分はどういう意味を持っているのだろう?
プロでのニーズが増えるといっても、そこで売れる数はiPhoneという世界で一番売れるプロダクト全体から見ればごくわずかな数にすぎない。Proという名前でも、もちろん純粋にプロ市場を狙ったものではない。
プロも使っているということ、それだけのものであるということに価値を持つ人がいるのは事実で、多分にマーケティング的な意味合いでの言葉だろう。だが、こだわりのある個人であるいわゆる「プロシューマー」市場は非常に大きな価値を持っており、iPhoneを含む多くの商品における「Pro」とは、「コアなプロも使える、プロシューマーも満足」と理解すべきだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
「Xが情報収集に役立たない……」熊本地震で不満の声続出 「Twitterを返して」
-
2
メルカリ、梨の転売疑惑に「盗品の出品は確認されず」 誹謗中傷には利用制限も
-
3
「こんなのに追われたら……」急斜面もやすやす爆走、中国製の車輪付き四足ロボのデモ動画が話題 最高時速20km超
-
4
検索結果に「詐欺ではありません」と表示させる詐欺手口、警視庁が注意喚起 AI要約も餌食に
-
5
農水省の“クソダサ”ポスター話題 「AIよりよっぽど良い」の声も 担当者に狙いを聞いた
-
6
はてな、11億円流出の調査報告書を公開 偽警察、口外禁止、残業・休出200時間超、孤立……ほころびが連鎖
-
7
Z世代に聞く次の流行、「AIイラスト」が1位に 「Claude Code」も上位
-
8
イオンモール熊本内部の様子も──自衛隊や警察庁、救助活動の動画・写真をSNSで積極発信
-
9
TSMC熊本工場、段階的に通常操業へ 熊本の地震で一時中断、従業員の無事確認 台湾報道
-
10
東野圭吾さん死去、Xなどで追悼相次ぐ 「ガリレオ」など数々の人気作、エンジニアから転身
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR