時と場所を選ばない空間オーディオ制作は可能か? M1 MacとLogic ProでDolby Atmos作品を作ってみた(4/5 ページ)
広がり感とダイナミック感を併せ持った音響空間を構築
Logic Proのプロジェクトを空間オーディオ用に設定すると、マスタートラックに「Dolby Atmos」プラグインが自動的に追加される。このプラグインでは、モニターする際のサラウンドフォーマットを選んだり3D Object Pannerを使って位置決めした音源の定位を視覚的に確認することができる。音源の定位をオートメーション機能で移動すると頭の形をしたグラフィックの周囲を丸いアイコンが動く。まるで浮遊するオーブ(orb)のようだ。
このように空間全体を構築するベッドトラックとは別に、特定の位置に定位あるいは、移動させたい音源をオブジェクトトラックとして配置することで、広がり感とダイナミック感を併せ持った音響空間を構築することができる。それがDolby Atmosというわけだ。
オブジェクトトラックは最大で118個(モノラル)まで配置することができる。ただ、Logic Proのユーザーガイドには、「クリアでまとまりのあるミックスにするためには、数種類の目立たせたいサウンドだけにオブジェクトトラックを使用することをおすすめします」とある。確かに、オブジェクトトラックだらけにして、さまざまな音を配置してしまうと、逆に各音源が空間の中に埋没してしまい効果が薄れてしまう。
Dolby Atmosプラグインで距離をモデリング
マスタートラックに自動挿入されたDolby Atmosプラグインでは、Binauralから7.1.4チャンネルまで6種類のリスニング環境に合わせたモニタリングが可能。今回は、ヘッドフォンで聴くことに主眼を置いているので「Binaural」を選択した。
Binauralを選択した場合のみ、ベッドトラックとオブジェクトトラックの各チャンネルにおいて音源までの距離を「Near」「Mid」「Far」から選ぶことができる。耳からスピーカーまでの距離をヘッドフォン環境において擬似的にモデリングするための機能だと考えるといい。あくまでもヘッドフォン聴取時の機能なので、2.0~7.1.4を選ぶとメニューがグレーアウトして選択できない。
試しにBinaural設定でミックスした音源を5.1~7.1.4チャンネルに切り替えて聴くと、各トラックのバランスがまったく異なって聴こえるのには驚く。左右前後にパンポットした際、レベルの強弱が激しく、サラウンドスピーカーで再生する場合にはここまで大げさに音像を変化させなければ、適切な音場を構築できないのかと気付かされた。
音質を求めるなら96KHz/24bitからのダウンコンバートがベスト
Logic Proでミックスした空間オーディオコンテンツは、最終的に「ADM BWF」(Audio Definition Model Broadcast Wave Format)に書き出して配信サービスに納品することになる。「ファイル」→「書き出す」と選択し「プロジェクトをADM BWFとして…」を選んで保存するだけなので、実に簡単だ。
仮に、Logic Proのプロジェクトが44.1KHz/16bitであっても、Dolby Atmosの規定で、ADM BWFは48KHz/24bitにアップコンバートされて書き出される。逆に、96KHz/24bitのプロジェクトならダウンコンバートされることになる。ただ、Appleでは96KHz/24bitからのダウンコンバートの方が音質的には良い結果が得られるとしている。
ADM BWFは、マルチチャンネルのWAVファイルに加えDolby Atmos対応のシステムやデバイスでサラウンドミックスを再現するために必要なメタデータを含んでいるので、おのずと容量が大きくなる点は忘れないでおきたい。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
なぜ酒蔵の許諾なしに? 「VTuberコラボ日本酒」騒動、主催者が経緯説明 仲介者による調整で「準備進んでいると認識」
-
2
かっぱ寿司「配布前のコラボグッズ、フリマで買わないで」 プリキュアコラボ発表日に注意喚起
-
3
「食事量は1日1200kcal以下、でも肥満」な人を14日間追跡調査 痩せない理由は……米コロンビア大などの研究
-
4
本物そっくり“AI生成レシート“が経費精算の脅威に マネフォ「自力で見破るのは難しい」 企業はどう備える?
-
5
「菜の花がおかしい」――イラストレーター制作うたうマラソン大会ポスターに指摘相次ぐ 事務局がAI使用明かす【訂正あり】
-
6
「ペンギンを返して」→「3匹全部採用して」 批判殺到のSuica新キャラ、ファンアートが空気を変えた? SNSの声
-
7
藤井風のリサイタル、公式サイトがインターネット老人会すぎると話題 公民館のチラシみたいだけど東京ドーム開催
-
8
「iPhone Duo」純正ケース話題、「面白いけど高い」……1万4800円と2万4800円
-
9
「ランジェリーパープルじゃない」「買おうと思ってたのに」 iPhone 18 Pro/Pro Maxの色に落胆の声
-
10
松本デジタル相、24.6万件漏えい可能性について説明 「既知の脆弱性を対応前に悪用」
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR