古代サンプラーがアプリになるまで
「サンプラーの元祖」メロトロンの構造がアナログの極みすぎる そして複雑な楽器の著作権問題について(5/7 ページ)
商標に関するクレームが舞い込んだ
ヴィンテージ鍵盤楽器のシミュレーションアプリを開発する際に注意しなければならないのは、権利の問題だ。
まず、「Mellotron」という名称は使えない。現在、商標は「Mellotron Archives」のデビッド・キーン氏とマーカス・レッチ氏が保有している。2009年に初代マネトロンをリリースする前にキーン氏にメールでロイヤリティーを支払うので商標を使いたい旨のメッセージを送信したが返事はなかった。別のルートから、キーン氏は他者に商標を一切使用させない姿勢を貫いているという、噂レベルの情報も入ってきた。
商標が使えないのであれば致し方ない。Mellotronを真似たということで、「マネトロン」という名称にした。意味としては日本語圏でしか通用しないが、「M」で始まり「tron」で終われば世界のファンは、Mellotronアプリとして認識してくれるであろうという思惑もあった。
筆者は2013年、デビッド・キーン氏からApple経由で商標に関してクレームを受けたことがある。YouTubeで公開しているマネトロンのプロモーション動画に「Manetron」という言葉とMellotronの写真を使うなというのだ。また、App Storeに表示するサブタイトルにも「Mellotron Simulator」と記述していた。
第1世代のマネトロンを公開して4年も経過した時期になぜ突然クレームを付けてくるのか不思議だった。その理由は簡単だった。メールにはMellotron Archivesで「商標を使った正当なアプリ」をリリースすると記されていた。自分達のアプリをリリースすることになり、競合の排除に打って出たわけだ。
ただ、訴えられては困るので、そこは素直に従い、文章や動画から「Manetron」という言葉を削除し、その旨をキーン氏にApple経由で伝えた。これで一件落着かと思いきや、それから約2カ月後に今度は「アプリのアイコンに楽器の画像があり、弊社の商品と相反する」と新たなクレームをつけてきた。スーパーマネトロンのアイコンには、Mellotron M400Sの姿がそのまま描かれている。これが気に入らないようだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
古代サンプラーがアプリになるまで
アナログのサンプラー、古代のサンプラーなどと表現される「メロトロン」という不思議な魅力を放つ鍵盤楽器があります。メロトロンを「マネ」したiOSアプリ「マネトロン」の開発者である山崎潤一郎がメロトロン愛を炸裂させます。その行く末は……。
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
「Xが情報収集に役立たない……」熊本地震で不満の声続出 「Twitterを返して」
-
2
メルカリ、梨の転売疑惑に「盗品の出品は確認されず」 誹謗中傷には利用制限も
-
3
「こんなのに追われたら……」急斜面もやすやす爆走、中国製の車輪付き四足ロボのデモ動画が話題 最高時速20km超
-
4
検索結果に「詐欺ではありません」と表示させる詐欺手口、警視庁が注意喚起 AI要約も餌食に
-
5
はてな、11億円流出の調査報告書を公開 偽警察、口外禁止、残業・休出200時間超、孤立……ほころびが連鎖
-
6
Z世代に聞く次の流行、「AIイラスト」が1位に 「Claude Code」も上位
-
7
東野圭吾さん死去、Xなどで追悼相次ぐ 「ガリレオ」など数々の人気作、エンジニアから転身
-
8
NVIDIAやMicrosoftなど30社超、オープンAIの防御ツール共同開発の「Open Secure AI Alliance」設立
-
9
農水省の“クソダサ”ポスター話題 「AIよりよっぽど良い」の声も 担当者に狙いを聞いた
-
10
「あ、その情報メモしたい!」を叶えるワイヤレスイヤフォン、Nothing「Ear (3a)」
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR