メタバースの可能性はB2Bにあり? マネタイズへの道をソフトウェアの歴史から振り返る(2/2 ページ)
すでにメタバースのB2B化は始まっている?
過去の流れを踏襲すると、Web3.0で拡大していくメタバース市場でも、サービスがB2Bへと転換していく可能性が高いという。
「メタバース関連のビジネスが盛り上がるか懐疑的な見方もあるが、すでに具体的な兆候は確認できている。例えば、VRゴーグルは2025年にグローバルでの出荷台数が3000万台に達するとの予想がある。ハードウェアとしてのティッピング・ポイント(臨界点)を超え、一定の普及を見せることは間違いないと考えている」(頼さん)
実際「メタバース×B2B」の具体的な取り組みは、SaaS分野でもすでに始まっている。
例えばスマートフォンやPC、VR機器などからバーチャル空間に集える「cluster」は、法人向けのイベント会場制作や運営といったサービスの提供に力を入れている。
clusterがKDDIや渋谷区観光協会などによる三者共同プロジェクト「渋谷5Gエンターテイメントプロジェクト」に提供したバーチャル空間には約40万人が参加したという。このように、VR空間は商用イベントとして成立しうることが伺える。
B2Bの文脈では、香港発のバーチャルイベントプラットフォーム企業、EventXも、B2Bの展示会やイベントをオンライン上のバーチャル空間で再現しており、すでに中国Alibabaなどにもサービスを提供している。
直近のシリーズBラウンド調達では、中国のベンチャーキャピタルであるヒルハウス キャピタル グループのGL Venturesなどから約20億円(1800万米ドル)の資金も調達している。
こうしたサービスのニーズは、特にコロナ下で業務のリモート移行が加速する中で顕在化してきた。例えば、ビデオ会議では伝えにくい製品やサービスの特徴も、バーチャル空間なら身振り手振りや3Dモデルを活用しながらプレゼンテーションできる。
バーチャル空間で潜在顧客とのタッチポイントを創出することで、どのブースに誰が訪れたかをCRM(Customer Relationship Management、顧客関係管理ツール)に自動で蓄積することもできる。これはリアルな展示会で行われていた名刺交換を代替する、メタバース固有のユニークな機能といえる。
「バーチャル空間で生成した展示ブースはリアルと違って再利用できるため、中長期的に見ればコストダウンが可能。意思決定者である経営陣の立場からすれば、削減した分のコストをバーチャルコンテンツの作成に充てられることはリーズナブルに感じられるだろう」(頼さん)
このようにメタバース固有の体験や利便性によって生まれた新たな価値は、企業間の活用シーンでも進化を見せつつある。
まだまだ一部のエンターテインメントやコミュニケーション領域での活用にとどまるメタバース関連ビジネス。しかし、どんな要素が「B2B化するか」という観点で着目すると、SaaSに限らず次なるトレンド発見に役立つかもしれない。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
「Xが情報収集に役立たない……」熊本地震で不満の声続出 「Twitterを返して」
-
2
メルカリ、梨の転売疑惑に「盗品の出品は確認されず」 誹謗中傷には利用制限も
-
3
はてな、11億円流出の調査報告書を公開 偽警察、口外禁止、残業・休出200時間超、孤立……ほころびが連鎖
-
4
「こんなのに追われたら……」急斜面もやすやす爆走、中国製の車輪付き四足ロボのデモ動画が話題 最高時速20km超
-
5
検索結果に「詐欺ではありません」と表示させる詐欺手口、警視庁が注意喚起 AI要約も餌食に
-
6
農水省の“クソダサ”ポスター話題 「AIよりよっぽど良い」の声も 担当者に狙いを聞いた
-
7
Z世代に聞く次の流行、「AIイラスト」が1位に 「Claude Code」も上位
-
8
「痺れるほどにミスを繰り返す」Gemini 3.6 Flashは変わった? 公開から1週間、当初のおバカ回答を今検証する
-
9
NVIDIAやMicrosoftなど30社超、オープンAIの防御ツール共同開発の「Open Secure AI Alliance」設立
-
10
東野圭吾さん死去、Xなどで追悼相次ぐ 「ガリレオ」など数々の人気作、エンジニアから転身
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR