「歌舞伎でヒーローショーをやりたい」 中村獅童+初音ミクの超歌舞伎「永遠花誉功」ができるまで ニコニコ超会議統括プロデューサーに聞いた(2/5 ページ)

歌舞伎でヒーローショーを

今回の超歌舞伎には、ポイントとなるいくつかの要素があったと思うのですが、そもそものアイデアは、どこから始まったのでしょう。

横澤 コロナ禍の中で、家にいる時間が長くなると、ついいろいろ難しいことを考えるじゃないですか。だからこそ、見やすくて、シンプルに気持ちが昂ぶるような歌舞伎が見たいなと思ったんです。

 それで思いついたのが、歌舞伎でヒーローショーをやりたい、今世紀最大のヒーローショーができないかと考えたんです。僕が好きな歌舞伎って、荒事というか、シンプルな勧善懲悪が真骨頂だなと思っていて。やっぱりヒーローがヒーローらしく登場するのを、見事に様式化した、これが歌舞伎だ! というのを見せたかったんですね。

 竜をスクリーンだけで見せるのではなく、作り物でも出すというのも、やっぱり、戦うならリアルな絡みも必要だし、その補完として映像もあって、その両方があって、絵がキレイに見えるんです。

ヒーローショー的な演出と歌舞伎的な見せ方がピッタリとハマっていました。

photo 蘇我入鹿を倒すもくろみを持って、威風堂々と花道に登場する金輪五郎今国(中村獅童)

横澤 江戸の人たちが、今の技術があればやっただろうということ、先人たちが作りたかったであろう景色を作りたかった。ただ、それに本気で取り組もうと考えたとき、今までの舞台機構や投影技術が邪魔に思えたんです。

 6年間、超歌舞伎をやってきて、できることとできないことが分かってきて、でも、それでは、僕が見たい景色ができないということに我慢ができなくなってきて、それで、今まで積み重ねてきた技術や舞台機構を全部やめちゃった。ゼロベースから超歌舞伎を作り直すことにしたんです。

photo 高精細のLEDによって、前回までの投影に比べて、存在感と自由度を増した初音ミク

一番、違っていたのは、舞台の構造と、初音ミクの見え方でした。これまでで一番、ミクさんと、他の俳優さんたちの距離が近かったように思います。

横澤 はい。もともと、ミクさん見せ方というのは、僕なりのこだわりがあったんです。スクリーンを使った演出をずっとやってきたけど、それは直射光と反射光では、人がそれを見たときの認識の仕方が変わってくるという話を本で読んだからなんです。

 ミクさんの輪郭を認識してほしくて、無意識で見ている人がミクさんを、そこにいる人として認識できるというのが、ファンからすると凄く重要だと思って、投影技術を磨いてきました。でも、今回、直接光にしたんです。1.9mmピッチの高解像度のLEDを使って、ミクさんを直接見せるという方法です。

 映像自体に陰影を付けることでミクさんを見せるようにしました。僕自身、これは賭けだったんですけど、結果的に、俳優さんたちとの距離を近くできましたし、紗幕との組み合わせも効果を上げたと思います。

photo 苧環姫(初音ミク)は、自らが屏風の絵から抜け出た存在だということを明かすシーン。絵から抜け出すという古典的な素材と、初音ミクの存在、更に未来的なデザインの投影を組み合わせることで、歌舞伎とSFが無理なく結びつく
印刷する
SNSでシェア
SpecialPR

この記事の著者

関連記事

こんなメディアも見られています

ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。

メールマガジンを配信中
メールマガジンを配信中

国内外の業界動向、AIやクラウドなどの最新技術、キャリア情報など今知りたい情報をまとめてお届けします。

いますぐご登録

本日の新着記事

アクセスランキング

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10

ITmedia NEWS SNS

X @itmedia_newsをフォロー

インフォメーション

ITmediaNEWSをフォロー

あなたにおすすめの記事PR