Innovative Tech
目が悪いとうつ病になりやすい? 治療のため眼球に電気刺激 ラットで改善効果あり
Innovative Tech:
このコーナーでは、テクノロジーの最新研究を紹介するWebメディア「Seamless」を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。
香港大学、中国のUniversity of Chinese Medicine、香港城市大学による研究チームが発表した「Antidepressant-like effects of transcorneal electrical stimulation in rat models」は、眼球に電気刺激を与えると、うつ病や認知症(アルツハイマー病など)の改善につながる可能性を示した論文だ。動物モデル(ラット)において、うつ病の緩和や認知機能を改善することを発見した。
これまでの研究では、動物の脳の前頭前野に電気刺激を与えると記憶機能が向上し、うつ症状が緩和されることが知られている。だがこの手法は、脳に電極を埋め込む侵襲性の高い手術が必要で感染症や術後の合併症などリスクが大きかった。研究チームは非侵襲的に治療できる方法を模索していた。
そこで、非侵襲的に目の角膜表面を電気刺激する既存の治療法「経角膜電気刺激」(Transcorneal Electrical Stimulation、以下TES)に着目した。TESを用いた研究のほとんどは、視覚機能への改善に焦点を当てたものであり、非視覚系への影響、特に精神的影響については広く調査されていなかった。
先行研究で、視覚障害とうつ病や不安の症状との間に双方向の関連があることが知られていることから、このTESがうつ病や認知機能に効果があるのではと考えた。TESがうつ病の前臨床モデルにおいて抗うつ効果を誘発するという仮説を検証した。
実際にラットの角膜にTESを与えた結果、脳の経路を活性化することで、抗うつ薬を投与したような抗うつ作用の誘発とストレスホルモンの減少が確認された。また、海馬の脳細胞の発生や成長に関わる遺伝子の発現が誘導されることも確認された。
さらに研究チームはアルツハイマー病の治療に応用できるかどうかをラットで検討した。その結果、記憶力が飛躍的に向上し、アルツハイマー病の特徴の一つである海馬におけるアミロイドβの沈着が減少することが確認された。
Source and Image Credits: Yu, Wing Shan, Tse, Anna Chung-Kwan, Guan, Li, Chiu, Jennifer Lok Yu, Tan, Shawn Zheng Kai, Khairuddin, Sharafuddin, Agadagba, Stephen Kugbere, Lo, Amy Cheuk Yin, Fung, Man-Lung, Chan, Ying-Shing, and Chan, Leanne Lai Hang.“Antidepressant-like effects of transcorneal electrical stimulation in rat models”
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
「食事量は1日1200kcal以下、でも肥満」な人を14日間追跡調査 痩せない理由は……米コロンビア大などの研究
-
2
なぜ酒蔵の許諾なしに? 「VTuberコラボ日本酒」騒動、主催者が経緯説明 仲介者による調整で「準備進んでいると認識」
-
3
かっぱ寿司「配布前のコラボグッズ、フリマで買わないで」 プリキュアコラボ発表日に注意喚起
-
4
LINEヤフーグループ、自己都合退職急増 前年度比65%増の2791人
-
5
「ペンギンを返して」→「3匹全部採用して」 批判殺到のSuica新キャラ、ファンアートが空気を変えた? SNSの声
-
6
幻の「ちいかわ」コラボ第3弾皿、捨てちゃうの? くら寿司に聞いてみた
-
7
バスローブ姿で取材対応の秋田県職員 ラブホ不倫現場からリモート対応だった 県が処分
-
8
「ランジェリーパープルじゃない」「買おうと思ってたのに」 iPhone 18 Pro/Pro Maxの色に落胆の声
-
9
AnthropicのアモデイCEO、AI開発の「ペース調整」訴えるエッセイ公開 アルトマン氏とマスク氏も賛同
-
10
「iPhone 18」シリーズ徹底比較 「17」シリーズとの違いをチェック
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR