SaaS対決特別編
取引デジタル化の最前線 インフォマートの戦略とは?(1/3 ページ)
緩和措置などもあり、当初よりもだいぶトーンダウンした感じは否めないが、2023年10月よりいよいよインボイス制度がスタートする。インボイス制度そのものは請求書のデジタル化を必須要件としているわけではないが、受取側(買い手)での管理の観点からはデジタル化されていない請求書は対応負荷が大きく、一気にデジタル化を進める機運がある。
その流れの中で、受取請求書サービスが複数立ち上がり活況を呈している。SaaS対決でも以前受取請求書サービスを取り上げたが、今回はその延長戦として、どこよりも早く「取引のデジタル化」に向き合ってきたインフォマートのBtoBプラットフォームを取り上げる。
同社はフード業界向けの取引プラットフォームから事業をスタートしていることもあり、一般企業での知名度は決して高いとはいえないが、その思想やコンセプトは非常に先進的で、電子インボイス・Peppolなどの本格的な議論がスタートした現段階になって、ようやく時代がインフォマートの思想に追いついたともいえる。
インボイス制度や電子帳簿保存法、そして将来の電子インボイスなどの対応を見据えて、自社の商取引をどのように効率化させていくのかという観点でぜひ参考にしてもらいたい。
インフォマートの沿革 双方向デジタル化が前提としてスタート
インフォマートは、フード業界の企業間電子商取引プラットフォーム「FOODS Info Mart(フーズ・インフォマート、現在のサービス名は「BtoBプラットフォーム 商談」)」の運営を行うことを目的として、1998年に東京都大田区で設立された。2003年に「BtoBプラットフォーム 受発注」、05年に「BtoBプラットフォーム 規格書」などリリースし、フード業界内での商取引のデジタル化や規格書の統一フォーマット提供などで事業を拡大させてきた。
フード業界にはチェーン展開している企業は多いが、マクドナルドのような世界的な超巨大チェーンを除いて、当時は商取引のシステムまで内製しているところはほとんどなかったため、インフォマートが提供するシステムがそのまま各チェーンの標準システムとして採用されることも珍しくなかった。
店舗側は従業員2、3人程度の場合も多いことに加え、対面や電話、FAXによる非効率なやり取りが根強く残る業界慣習を「なんとかしなければいけない」という本部のニーズともマッチして、インフォマートは順調に売り上げを拡大し、06年には東証マザーズに上場を果たす。
その後もフード業界向けにさまざまなサービスを開発していた同社であったが、15年に「BtoBプラットフォーム 請求書」をリリースし、ついに一般企業向けのツールに参入する。その後は17年に「見積書」と「業界Ch」、18年に「契約書」、21年に「TRADE」と立て続けに企業間の商取引を双方向でデジタル化するプロダクトを投入している。
10年代前半はfreeeやマネーフォワード、クラウドサインなどがリリースされ、さまざまな請求書発行システムも立ち上がるなど、日本におけるバックオフィスを効率化させるSaaSの黎明期である。そこにインフォマートも参入する形となったわけだが、特徴的なのは「BtoBプラットフォーム」としてあくまでも双方向のやり取りを前提としたプロダクトを提供した点にある。
請求書発行システムについては、日本国内だけでも100近いサービスが存在し、無料で利用できるものや会計ソフトとセットで提供されているものも多い。近年ようやくメールへのPDF添付などで請求書発行処理が完結することも増えてきたが、10年代は請求書の印刷・郵送が取引先から必須とされることも多かった。契約書も同様で、もしコロナ禍による強制的なデジタル移行がなければ、日本の大手企業は未だにアナログなやり取りから脱却できていなかったかもしれない。
そんな環境下にあって、インフォマートは最初から企業間のやり取りをプラットフォーム上で完結させることを念頭においてサービスを提供してきた。国土の広い米国などではデジタル化への取り組みが早々に進んだが、何事も前例に習う日本において、商取引を電子プラットフォームに載せることを前提としたシステムはかなり野心的な取り組みだったといえるだろう。
次はBtoBプラットフォームシリーズについて詳しく見ていく。
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