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請求書受け取りSaaSでチェックすべき3つの観点 sweeep、バクラク請求書、invox、Bill Oneを比較するインボイス受領SaaS比較(1/4 ページ)

» 2023年01月18日 07時00分 公開
[武内俊介ITmedia]

 コロナ禍を経て日本のペーパーレス化に対する意識は大きく変わった。紙の書類が当たり前だった契約書や請求書についても、可能な限りデジタル化しようと考えるようになり、電子帳簿保存法などの税制改正もこの動きを後押しする形となった。

 これらの社会変化の中でここ数年の進化が目覚ましいのが、受け取った請求書(インボイス)を処理するSaaS(以下「受取請求書SaaS」)である。請求書を発行するためのツールは昔からあったが、受け取った請求書を取り込み、支払処理や仕訳データを一括で作成することに特化したツールが登場したのは、ごく最近のことだ。

 今回は受取請求書SaaSを「OCR特化」および「OCR+オペレーター入力補助」の2つに大別した上で、それぞれ2つずつ、計4つのSaaSを取り上げる。各サービスともに処理する請求書の量に応じて単価なども変わるため、気になったサービスがあれば、ぜひ直接問い合わせてほしい。

受取請求書処理でチェックしたい3つの要件

 各SaaSの紹介に入る前に、受取請求書SaaSを選ぶ上で検討するべき観点を3つ紹介する。

 1点目は、オペレーターによる入力補助があるか否かという点だ。ほとんどのサービスではOCRによる文字認識及び入力補助機能は提供されているが、請求書にはさまざまな形式がありOCRの設定にはそれなりの手間がかかる。また、業界によっては手書きの請求書がまだ存在し、その場合はOCRでは処理できない。読取精度は概ね95%以上ではあるが常に完璧であるとも限らないため、読み取り後のチェックと補正作業は必須だ。

 この部分を補うために人間のオペレーターによる入力補助サービスを提供しているSaaSもいくつかある。メリットは入力データの精度の向上と設定の手間を大幅に削減できることだが、処理速度とコストの部分で問題がある。

 読み取ってOCRで処理するだけであれば即座に次の処理に移れるが、そこにオペレーターの処理を介在させるためどうしても数時間〜数日のタイムラグが生じる。そして、当然オペレーターの人件費に相当する部分のコストアップにもつながる。

 これらのメリット・デメリットを認識した上で、毎月処理する請求書はどれぐらいあるのか、そして何営業日以内に処理を完了させないといけないのかによって、どのサービスを選ぶべきかは変わってくる。

 2点目は、ワークフローツール(社内稟議)との連携である。受け取った請求書を正確に読み取り、入力が完了したとして、そのままそれを支払いや会計の処理に回していいとは限らない。発注時の承認は取れているか、予算内の費用かどうか、など請求書に記載されている情報以外に確認するべきことが多数あるため、稟議データとのひも付けがスムーズにできることが望ましい。

この点も企業規模や処理件数に応じて、必須要件かどうかが変わるだろう。小規模な企業では稟議制度がないところも多いだろうし、処理件数が月に数十件であればひも付けがなくても担当者の方で確認が可能だからだ。

 3点目は、受取代行サービスの有無だ。請求書のデジタル化が進んでいるとはいえ、紙の請求書しか発行できない取引先も多い。いくつかのサービスではスキャンセンターを設置し、請求書の送付先をスキャンセンター宛に変更することで、受取からスキャンまでの作業も代行してくれるプランも提供している。追加の費用はかかるが、郵送されてくる請求書が多い企業では検討の価値があるサービスだろう。

 それではここからこれらの3つの要件を踏まえて、実際のSaaSを見ていく。

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