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請求書の発行も受領も0円から SBI系の「請求QUICK」がインボイス対応新機能

» 2023年01月12日 18時24分 公開
[斎藤健二ITmedia]

 SBI系のSBIビジネス・ソリューションズは1月12日、請求書発行SaaS「請求QUICK」に請求書受領サービスを組み込むと発表した。発行、受領ともに初期費用無料、0円から利用できる点が特徴。10月から始まるインボイス制度だけでなく、2024年1月からスタートする電子帳簿保存法にも対応する。

 経理専門部署がなく、インボイス制度対応のためのSaaS導入にコストをかけられないような中小企業をターゲットとする。

 「請求書関連のSaaSには、発行、受取、電子保存の3つがあるが、それぞれバラバラのサービスが多い。これを1つでカバーしていく。オールインワンなので、マスタ情報などのメンテナンスコストも低い。システム間連携も不要、データも一元管理できる」と、同社の夏川雅貴社長は言う。

 9月に請求書の受取機能を搭載し、PDFをアップロードすれば自動的に取り込む機能や、紙の請求書をスキャンして登録できるようにする。インボイス制度対応に必要な適格請求書番号についても、受け取った請求書を元に国税庁のサイトで自動チェックを行う。外部に処理を委託するBPO機能は予定していない。

請求書受領サービスの基本機能をほぼ無料で提供する

 現在の請求書発行機能については、一定の発行数を超えると料金が発生する従量制だが、「体感的には95%くらいの企業が無料で使っている」(夏川氏)という。受領サービスについても、ほぼ無料で利用できるよう料金プランを調整中だ。

 機能をほぼ無料で使えるという点が評価され、中小企業の導入が増加した。現在628社が利用しており、このうち22年12月には月間280社が採用した。導入数は右肩上がりで伸びており「業界トップ水準の獲得ペースだ」(夏川氏)という。

 一般的に、請求書の受領サービスは月額3000〜3万円程度、発行サービスも月額3000〜4万円程度、電帳法に対応した保存サービスも月額3000〜1万円程度のコストがかかる。同社が、ほぼ無料でこうしたサービスを提供するのは、セットで提供するフィンテックサービスを収益源としているからだ。

特に中小企業では、法対応のためのコストは支払いづらい。逆に、ファクタリングやクレカ払いなど、資金繰り改善のニーズは高いという

 同社は請求QUICK導入企業に対し、請求書を買い取るファクタリングサービスや、取引先にBtoB決済を可能にするクレカ決済サービスを提供している。請求書周りの情報を集積することで与信にも生かす形だ。

 「ファクタリングの『入金QIUICK』、クレジットカード決済の『クレカQUICK』の収益が伸びている。ここで収益を得ていく」(夏川氏)

 今後も、フィンテック領域のサービスを併せて提供することで、SaaS部分については基本的に無料で提供していく考えだという。

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