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「インボイス賛成」と話すTOKIUM社長と考える、免税事業者はどうするべきか(1/3 ページ)

» 2022年12月19日 07時00分 公開
[斎藤健二ITmedia]

 2023年10月に控えたインボイス制度が、2つの面で話題だ。1つは、実質的に益税を奪われるフリーランスなどの小規模事業者が、反対の声を上げている。2つ目は、複雑になる事務処理に対応するため、企業側は何らかのサービスを導入しないと負担が大きい。

 受注側は消費税分の収入が減り、発注側は事務負担が増す。いったいインボイス制度のメリットってどこにあるの? というと話は簡単で、この制度で2480億円の税収増が見込まれている。要するに増税の一つというわけだ。

 ただし増税とうたっては誰からも反対の声が出る。今回、増税と見えないうまい仕組みなのはインボイス制度がセットで消費税控除の条件とされたことだ。これにより、論点は消費税を発注側が負担するか、受注側が負担するかに切り替わった。

 これまでは受注側も発注側も負担していなかった消費税を、どちらかが負担しなくてはならないのだから大変だ。「益税なんだから本来収めるのが当たり前だ」とか「課税事業者になってもらわないとウチが消費税を負担することになる」といった議論にすり替わったわけだ。

誰にもメリットのないインボイス制度

 さて、そんな国以外は誰にもメリットのないインボイス制度だが、対応するシステムを提供する事業者には追い風だ。インボイスを送る方も、受け取る方も、さらに仕訳して会計ソフトに取り込むところでも、インボイス制度への対応が必要。ちょうど2024年1月には、延期されていた電子帳簿保存法もスタートするため、システムを導入しなくてはどうにもならない状況になっているからだ。

 気鋭のベンチャー企業、TOKIUMもそんなインボイス受領サービスを提供する企業の1つだ。同社の黒崎賢一社長は、インボイス制度に賛成だと話す。

TOKIUMの黒崎賢一社長

 それはポジショントークでしょう? 御社にとってはサービス導入の追い風だし、世間ではインボイス反対! の声ばかりですよ? と思ったのだが、黒崎氏はかなり真剣だった。

 「インボイス制度がスタートすることは既に決まったこと。ここから反対だという声を挙げてひっくり返すというより、所与のものとして受け入れて、その上でフリーランスへのケアを考えていくべきでは」

 確かにインボイス制度の是非を議論するタイミングは過ぎている。法治国家である以上、国会で議論しているときに声を上げるべきだったといわれればそのとおり。でも21年の末には、年明けから実施となった電子帳簿保存法が、まさかの2年猶予となった例もある。インボイス制度だって、フリーランスの各団体が声を上げた結果、政治家の間では緩和策も検討されている。

 インフレと不景気の影が見え隠れする昨今、フリーランスの生活を直撃するような制度は見直してもいいのではないかーーとも、思うがどうだろう?

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