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インボイスに著名クリエイターも危機感 「残酷な天使のテーゼ」及川眠子さん、「はじめの一歩」森川ジョージさんなどNEWS Weekly Top10

» 2022年11月21日 12時00分 公開
[岡田有花ITmedia]

ITmedia NEWSにおける1週間の記事アクセス数を集計し、上位10記事を紹介する「ITmedia NEWS Weekly Top10」。今回は2022年11月12日から2022年11月18日までの7日間について集計し、まとめた。


 先週のアクセスランキングには、トヨタ自動車の新「プリウス」から、日本で使われがちなパスワードのランキング、Twitterの騒動まで、さまざまな話題が入った。

 10位には、インボイス制度に反対するクリエイターたちによる記者会見の記事がランクイン。転載先のYahoo!ニュースを含め、大きな反響があった記事だ。

 インボイスは、年収1000万円以下の個人事業主とその発注者に、新たな税負担や事務負担を求める制度だ。漫画やアニメなどのクリエイターには、年収の低い個人事業主が多く、制度の直撃を受けてしまう。

 漫画家・声優・アニメ・演劇の4団体が共同で開催した今回の記者会見では、インボイス導入後、それぞれの業界で「約2割の人が廃業を検討している」という衝撃の事実が明らかになった。駆け出しの若年層ほど収入が少ない傾向にあり、廃業の可能性が高まるため、クリエイターのなり手が減少する可能性がある。

 そうした危機感を背景に、著名なクリエイターたちも、Twitterで声を上げ始めた。

 「好きなことをやってんだから儲(もう)からなくていいだろと言う人たちもいる。でも優れた才能が『趣味』にしかならないと、この国の文化は本当に廃れてしまう」――こうツイートしたのは、「残酷な天使のテーゼ」や「淋しい熱帯魚」などを作詞した及川眠子(おいかわ・ねこ)さんだ。

 「はじめの一歩」で知られる漫画家の森川ジョージさんは、「修行時代を直撃されることです。近い将来大ヒットを飛ばす可能性は誰にでもあります。やむを得ない制度導入だとしてもそれにより芽が摘まれるとしたら残念です」などと投稿した。

 「戦力外捜査官」などの著作で知られる小説家の似鳥鶏(にたどり・けい)さんは、「インボイスで廃業する漫画家の『2割』って『売れない人たち』ではなく『これからヒットを出すはずの新人』なんです。読み切り書いてた頃の吾峠呼世晴(編注:『鬼滅の刃』作者)とか遠藤達哉(編注:『SPY×FAMILY』作者)がそこで漫画家をやめてしまうんです。小説も演劇も同じ。これがどれだけの損失か。取り返しがつきませんよ」と危機感をあらわにした。

 インボイス反対運動は、創作の現場から始まり、じわじわ広がっていった。記者会見に参加した声優の岡本麻弥さんは、「声優が政治の声をあげるのは嫌がられる」と自覚しながらも、勇気を持って声をあげた。政府も徐々に動き始めており、草の根の声は確実に届きつつあるようだ。

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