電子データで受け取った領収書などの書類を、紙で保存することを禁じた改正電子帳簿保存法(電帳法、詳細記事)。大企業だけでなく個人事業主も含めて対応が必要なことから、2021年に問題となった。法律自体は22年1月から施行されたものの、結局、「24年1月までの2年間、対応を宥恕(ゆうじょ)する」ことになり、実質的に延期された形だ(詳細記事)。
ところが2022年末に公表された政府の「令和5年度税制改正大綱」では、さらに対応を緩和するアップデートが盛り込まれた。まだ閣議決定されておらず、確定事項ではないが、現時点での方向性を確認しておこう。
まず、電子データで受け取った書類を、電帳法が求めるやり方で保存できなくても、「相当の理由」があれば「猶予」するという内容が盛り込まれた。これはどういうことだろうか。
請求書受領サービス「Bill One」を提供するSansanのBill One Unitプロダクトマーケティングマネジャーの柘植朋美氏は、次のように解説する。
「前回は宥恕(義務はあるが許す)だったが、今回は猶予となり、電磁的記録の保存は必要だが電帳法が定める保存要件を満たせない場合も許容されるようになった。許容される理由についても前回は『やむを得ない理由』だったものが『相当の理由』に変わった。『相当』のほうが緩いと解釈できる」
2年間の宥恕だった前回対応よりも、より緩い方針に変更になり、かつ一律の期限も設けないということだ。
ただし「面倒だから」といったものは「相当の理由」にはならない。「赤字でシステム投資や対応コストが持てない場合は、相当な理由と解釈されると予想している。細かいルールについては後日、通達などで具体的な事例が発表されるのではないか」(柘植氏)
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