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不安しかない「CHAdeMO」の未来 日本発のEV充電規格は、無事生き残れるのか(3/4 ページ)
大容量バッテリー搭載車は愚かな選択?
CHAdeMO協議会は、駆動バッテリーの大容量化にも批判の矛先を向けます。小さなバッテリーを搭載した軽自動車EVの「サクラ/ekクロス EV」を模範的事例として、次の様に述べています。
「サクラ/ekクロス EVが車種別の販売台数でトップを記録。EV化の目的であるCO2排出削減のためには、たとえ再エネ由来の電力であっても発電した電気を最大限効率的に使うことは私たちの使命。バッテリーの大容量化が進む昨今、大容量の重たい電池を積んで走るということは、それだけでエネルギーを浪費する。(電池容量の小さな)サクラ/ekクロス EVが売れているということは、日本の消費者は正しい選択をした」(筆者による要約)
初代リーフや三菱アイミーブの時代ならいざ知らず、大容量のバッテリーを搭載する昨今の多くの車種を真っ向から否定しているかのような物言いです。約80kWhという重たいバッテリーを搭載するModel 3を購入した筆者は、再エネ的に愚かな選択をしたということでしょうか。
ここまで大容量バッテリーを全否定する必要があるのでしょうか。筆者は自宅充電において非化石証書100%構成の電力を利用していますが、大容量のバッテリーを使えば、出先で非再エネ由来の急速充電を利用する頻度は減るはずです。大容量のバッテリーと再エネ電力による自宅充電の組み合わせの方が、再エネ電力を最大限効率的に使うことになるのではないでしょうか。
付け加えると、Tesla専用充電ネットワークであるスーパーチャージャーは、グローバルレベルで100%再生可能エネルギーによる電力供給を実現しています。Model 3とエコの関係については、本連載「『EVって実はエコじゃないんじゃない?』 テスラにまつわる疑問にオーナーが答えてみた」において解説しています。
ちなみに、CHAdeMO協議会のコメントは筆者の要約による大意です。正確な発言内容を知りたい人は、前出の動画をご確認ください。
CHAdeMOは、世界に先駆けて公開された日本発の充電規格です。政治的な思惑やCHAdeMO自体の高度な技術的制約などから、米国、欧州、中国は、それぞれ独自規格を推進し、今では各国・各地域で複数の規格が誕生し実際に運用されています。
北米では、日産、ホンダ、フォード、GM、メルセデス・ベンツなどの老舗の自動車メーカーや充電インフラ事業者が、これまでのCCS Type1規格からTesla方式(North American Charging Standard、NACS)への乗り換え、あるいは併設を続々と表明しています。北米においては、充電規格戦争がTesla方式で決着した印象があります。
Teslaユーザーとしては、今後他の地域においてもTesla方式がデファクトスタンダードになるか否かが気になるところです。現在、日本においてはCHAdeMOが急速充電の標準規格ですが、急速充電事業への参入を表明したDMM.comやWeChargeは、CHAdeMOだけでなく、Tesla規格の併設を表明しています。CHAdeMO一択と思っていた日本の充電規格が、この先どうなるか混沌とした様相を呈してきました。
CHAdeMOは、V2H(ビークル・ツー・ホーム)という車載バッテリーから電力を取り出す仕組みを有するなど、世界に誇れる仕様を持っています。自然災害による停電時、CHAdeMOのV2Hが活躍した事例もあります。実は、Tesla方式(NACS)も将来V2Hを含むV2Xに対応することを表明しているので、この優位性がいつまで続くかわかりませんが……。
日本においては、電力コストや送電インフラの課題、各種法令や規制など、海外と比較して充電インフラ構築を取り巻く環境が厳しいことは理解できます。しかし、電気事業法、消防法、計量法など、関係する行政機関の審議会等では、充電インフラのあり方や関連する規制について改正が実施されたり、条件緩和に向けた改正や検討が行われているといいます。
CHAdeMO協議会や経済産業省としては、本格EV時代の世界標準規格を獲得しようという気概と心意気で、バックキャストな思考をもって充電インフラ政策を進めて頂きたいものです。
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「iPhoneにタイヤをつけたようなクルマ」と表現されるTesla。IT・ビジネス分野のライターである山崎潤一郎が、主にデジタルガジェットとして、そしてときには、ファミリーカーとしての視点で、この未来からやってきたクルマを連載形式でリポートします。
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