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情シス狙う“SaaS管理市場”が盛り上がる背景 179億円調達「ジョーシス」の戦い方は(2/3 ページ)
着眼点は情シスの“不” ジョーシスの特徴は
ジョーシスは、ネット印刷サービスなどを手がけるラクスル第四の事業として21年9月にスタートし、22年2月に分社化。その後累計179億円の資金調達を成功させて、グローバルにサービスを展開している。ラクスルの創業者である松本恭攝氏が、ラクスルのCEOを退任してジョーシスにフォーカスしていることもあって、注目度の高いスタートアップの一つといえよう。
サービスとしてのジョーシスは「ITデバイス&SaaS統合管理クラウド」を掲げるものだ。しかし同社の横手絢一CPOは「ジョーシスは、『情シスの”不”』に向き合うためのサービスであり、デバイスやSaaSアカウントの管理機能だけを提供すれば十分だとは最初から思っていない」と話す。
メインフレームが主役であった1960年代から1980年代、情シスは企業の情報化を牽引する花形の仕事だった。しかし、1980年代中盤からパソコンが一気に普及すると、情シスの仕事は運用・保守、社内の問い合わせやトラブル対応、端末管理などの裏方業務へシフトしていく。
中小企業では総務担当者が兼務するケースも多く、大企業でも予算も人員も潤沢にあるとは言い難い部門になっている。一方で、セールス・マーケ部門にはMA(マーケティング自動化ツール)やSFA(営業支援ツール)、管理部門にはクラウド会計やATS(採用管理システム)やタレントマネジメントシステムなど、業務を効率化させるツールの導入が進んでいる。
情シスもIDaaSやSaaS管理ツールなどの活用は少しずつ進んでいるが、多岐に渡る業務範囲を全てカバーできるようなツールは存在せず、複数のツールと表計算ソフトを駆使して業務を進める形になり、業務が担当者に属人化しやすい。
さらに情シスは、入退社時の端末の手配やアカウント管理はもちろんのこと、端末の在庫管理や設定、社内で利用している各種システムやセキュリティシステムの管理など、現代の企業が業務を行う上ではなくてはならない。しかし、社員にとって業務環境は当たり前に提供されるものだ。維持管理する重要性は、インシデントでも起こらない限り、ほとんど意識されることはない。
地味で大変だが評価されにくい情シスの業務は、ストレスもかかりやすい。ジョーシスによれば、情シス担当者の離職率は21%と、日本企業の平均離職率(約9%)と比べると倍以上。社員数100~1000人の企業では、情シスは「専任者なしまたは1人」という企業が全体の約1/3を占めるという。
「ラクスルにおいても、情シスの仕事はアナログなオペレーションが多く、自動化がほとんどできずに非常に非効率だった。CEO・松本のそのような経験から、日本のほとんどの企業でも根深い課題があると考え、ジョーシスの事業を構想した」(横手CPO)
情シス業務のアウトソーシングも包括
そこでジョーシスでは、SaaSやデバイスの一元管理機能だけでなく、キッティングからデバイス・SaaSの台帳更新といった、情シス業務のアウトソーシングにも手を広げてサービスを提供している。
横手CPOは「サービス提供前のヒアリングでは、特に地方企業でSaaS管理よりもITデバイスの管理に苦労しているところが多かった。管理システムではなく、パソコンの手配や設定、郵送、管理までまるっとやってほしい、という要望もたくさんもらった」と話す。
キッティングや郵送などの業務は主にパートナー企業が提供しているが、それらの手配や台帳管理までを全てジョーシスの中で行える。実はここには大きな意味がある。
端末数台ならまだしも、企業が利用する全ての端末の手配や管理までもまるっと任せられる受託事業者というのは、見つけるのが意外と難しい。SaaSアカウントの一元管理に加えて、ITデバイスの管理までもジョーシスを導入するだけで解決するのであれば、特にひとり情シス状態にとっては心強いサービスになると考えられる。
ITデバイスの手配や管理は誰かがやらなければいけないが、やったところで評価されるような仕事でもない。つまりITデバイスの管理業務そのものが、情シスの”不”になり得る──というのが、ジョーシスの着眼点だったわけだ。
とはいえ、キッティングや配送、管理までを含めて管理するシステムを構築することは「ITデバイスやSaaSアカウントの管理をするSaaS」だけを作るよりも難易度が高い。
通常のスタートアップであれば、サービス初期の段階から取り組むことは難しいだろう。そこを、連続起業家である松本CEOが率いることで解決している──というのがジョーシスの強みなわけだ。
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SaaS事業者向けにサービスを提供しているいわゆる「SaaS for SaaS」(SaaSのためのSaaS)を取り上げていく。
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