小寺信良のIT大作戦
就活の自己アピールにも生成AIの影 “就活ハック”はどこまで許されるのか?(2/3 ページ)
就活のHackはどこまで許されるのか
リクルートワークスの調査によれば、2024年卒の大卒求人倍率は1.71倍となっている。つまり1人の就活生に対して平均1.7社が採用希望ということになり、現在はかなりの売り手市場だ。エントリーシートを100社に送って全てお祈りされたような武勇伝を持つ世代からすれば、夢のようだろう。
ワンキャリアの実態調査によれば、この売り手市場において学生達がもっとも重視するのは「給料」だそうである。
それに呼応する形で、初任給を奮発する企業が増えている。中には入社3年目でバリバリやれる世代よりも新卒初任給のほうが高いという珍現象も見られるようになり、それが原因で使える人材がやる気を無くすというケースもあるようだ。
とはいえ、終身雇用制が崩壊した現在、自分のキャリア形成のためには転職は付きものなので、企業側としては急に辞められると困るだろうが、ある意味こうしたシャッフルが行われることは織り込み済みとして採用するしかない。そもそも大学できっちりキャリアデザインの授業が行われており、企業分析・業界分析した結果、転職がもっとも手っ取り早いキャリアアップの手段と気付くまでに対して時間はかからないはずだ。
記者説明当日は現役の大学生がワークショップに参加し、実際にAdobe Expressを使ってプレゼンシートを作るというプロセスを体験していた。参加の学生は、Adobe Expressを触るのは初めてという人も多かったが、自分のPCを持ち込み、手慣れた様子で制作していた。今どきの大学生はスマホしか使えないと思われているふしもあるが、スマホやカメラなどに使い、本格的な作業はPCでという使い分けがすでにできている様子も確認できた。
テンプレートからベースとなるデザインを選び、自分の写真を取り込んでAIで背景を切り取り、表紙に貼り付ける。切り抜き作業は昔は手作業であり、要するに普通の人にはできないので、写真は背景ごと貼り付けるしかなかった。AIがなければ、そもそもやってない作業である。
さらに普段着で撮影された写真を、生成AIでスーツに着替えさせることもできる。なるほど。
確かにそれもAIならではの方法ではあるが、就活でそれはアリなのだろうか。ポートフォリオはその人となりを見るためのものであり、採用担当者はわざわざ就活のために、あるいは自社にエントリーするためにわざわざスーツで写真を撮ったものだと思うだろう。その努力を評価するという事はありうる。
だがそのイメージは、AIでチョチョイといじった、ウソだ。実際にはスーツで写真を撮っていないし、そもそも着せ替えたスーツなど持ってもいない。印象は大事だが、事実でなくても体裁だけ整えればよいということを就活向けのワークショップで指導するのは、正しいことなのか。ポートフォリオは、事実でなくても構わないのか。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
小寺信良のIT大作戦
ベテランのテクノロジーライターである小寺信良さんがIT分野全般にわたって考察する。
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
「食事量は1日1200kcal以下、でも肥満」な人を14日間追跡調査 痩せない理由は……米コロンビア大などの研究
-
2
なぜ酒蔵の許諾なしに? 「VTuberコラボ日本酒」騒動、主催者が経緯説明 仲介者による調整で「準備進んでいると認識」
-
3
かっぱ寿司「配布前のコラボグッズ、フリマで買わないで」 プリキュアコラボ発表日に注意喚起
-
4
本物そっくり“AI生成レシート“が経費精算の脅威に マネフォ「自力で見破るのは難しい」 企業はどう備える?
-
5
「ペンギンを返して」→「3匹全部採用して」 批判殺到のSuica新キャラ、ファンアートが空気を変えた? SNSの声
-
6
「菜の花がおかしい」――イラストレーター制作うたうマラソン大会ポスターに指摘相次ぐ 事務局がAI使用明かす【訂正あり】
-
7
「iPhone Duo」純正ケース話題、「面白いけど高い」……1万4800円と2万4800円
-
8
「ランジェリーパープルじゃない」「買おうと思ってたのに」 iPhone 18 Pro/Pro Maxの色に落胆の声
-
9
幻の「ちいかわ」コラボ第3弾皿、捨てちゃうの? くら寿司に聞いてみた
-
10
藤井風のリサイタル、公式サイトがインターネット老人会すぎると話題 公民館のチラシみたいだけど東京ドーム開催
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR