小寺信良のIT大作戦
GoPro「凋落」の理由、華々しいスタートアップの紆余曲折を振り返る 大きな分岐点は8年前に(3/5 ページ)
運命の2016年
16年は、多くのことがいっぺんに起こった年である。1月にはHERO4 Sessionの失敗を受けて、GoProは初めてのリストラで15%の従業員を解雇している。他に柱となる事業がないので、1つコケると被害が大きいのがベンチャーの弱いところだ。
ソニーは6月に4Kのハイグレードモデル「FDR-X3000」をリリース、ハンディカムで光学レンズを動かして手ブレ補正をするという「空間光学手ブレ補正」をアクションカムに持ち込んだ。電子補正しかない小型カメラの世界に、4Kなど解像度に関係なく手ブレ補正が効くという、技術力でぶん殴ったようなカメラである。ようやく一矢報いたといったところであった。
一方GoProは、同年10月「HERO5 Black」をリリース、ここで初めてボディーが今のようなブラックとなった。また本体のみで防塵防滴仕様となり、そこはソニーを後追いした格好だ。4Kも撮影できたが、4Kでは手ブレ補正が効かないという点で「FDR-X3000」に勝てなかった。同時に小型モデルの「HERO5 Session」も出ているが、それよりもデカい製品が出た。
空撮用ドローン、「GoPro Karma」だ。カメラは別売で、GoProを前方に搭載する。カメラだけではない、別の柱を作ろうというわけである。ところがこのドローンが、1カ月程度でリコールとなった。バッテリー部のカバーの設計が悪く、飛行中にバッテリーの接触が途絶えて墜落するという問題が発覚したのである。
鳴り物入りの新ジャンルが1カ月で失敗したことで、GoProは大きなダメージを負った。16年11月には200人規模でリストラを行い、年明け3月にもおよそ17%の従業員をリストラした。
頼みのHERO5 Blackは、悪い製品ではなかったが、16年には同様のスペックで中国の有象無象のメーカーが続々とGoProクローンを投入し、市場は荒れた。同年、くしくも後に競合となるInsta360が、初の製品「Insta360 Nano」をリリースしている。iPhoneと合体して使用するカメラである。
ドローンは、その後も事業の継続を模索したようだ。だが結果的には18年1月にドローン事業から撤退を表明し、CEOのニック・ウッドマン氏からは、カメラ事業継続のためには買収もあり得ることをにおわせる発言もあり、株価は急落した。
17年に登場した「HERO6 Black」は、4K/60pまでの撮影を可能にした意欲作だった。また4K/30pまでなら手ブレ補正が効く。電子補正で4K処理するというのは、当時の画像処理エンジンとしては画期的な事だった。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
小寺信良のIT大作戦
ベテランのテクノロジーライターである小寺信良さんがIT分野全般にわたって考察する。
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
「Xが情報収集に役立たない……」熊本地震で不満の声続出 「Twitterを返して」
-
2
メルカリ、梨の転売疑惑に「盗品の出品は確認されず」 誹謗中傷には利用制限も
-
3
「こんなのに追われたら……」急斜面もやすやす爆走、中国製の車輪付き四足ロボのデモ動画が話題 最高時速20km超
-
4
検索結果に「詐欺ではありません」と表示させる詐欺手口、警視庁が注意喚起 AI要約も餌食に
-
5
はてな、11億円流出の調査報告書を公開 偽警察、口外禁止、残業・休出200時間超、孤立……ほころびが連鎖
-
6
Z世代に聞く次の流行、「AIイラスト」が1位に 「Claude Code」も上位
-
7
東野圭吾さん死去、Xなどで追悼相次ぐ 「ガリレオ」など数々の人気作、エンジニアから転身
-
8
NVIDIAやMicrosoftなど30社超、オープンAIの防御ツール共同開発の「Open Secure AI Alliance」設立
-
9
農水省の“クソダサ”ポスター話題 「AIよりよっぽど良い」の声も 担当者に狙いを聞いた
-
10
「あ、その情報メモしたい!」を叶えるワイヤレスイヤフォン、Nothing「Ear (3a)」
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR