小寺信良のIT大作戦
安い電気を“買いだめ”するという発想 ポータブル電源は「家庭用蓄電システム」の夢を見るか(1/3 ページ)
長かった夏もようやく終わり、太陽光発電の今年の成績が気になるタイミングに近づいてきた。2023年度は、発電過剰で使いきれず無駄に電力を捨てた、いわゆる出力制限量が全国で計約19.2億キロワット時に達したことが明らかになり、大問題となった。約45万世帯分の年間消費電力量に匹敵する電力が、無駄になったことになる。
現在電力市場では、需要と供給のバランスによって、30分ごとに電力料金が変動している。こうした市場連動型の電力プランを提供する事業者もある。実際電力小売事業の「Looop」では、市場連動型電力プランとして「スマートタイムONE」を展開している。
とはいえ、電気が安い時間帯は真っ昼間であり、その時家にいればどうにかできるが、普通は会社に行ったりして留守のことも多いだろう。安いからいっぱい使えといわれても、人が太陽光発電の都合に合わせてリアルタイムに対応するには限度がある。
じゃあそこに家庭用蓄電池を挟んで、電気料金の安いタイミングで充電し、高いタイミングで放電するようにプログラムを入れたらいいんじゃないか、という話になる。実際そういうことができるのか、実証実験がスタートする。
11月1日、電力小売事業の「Looop」、クラウド上で電力量印変動を監視してバッテリーの充放電を制御する「Yanekara」、ポータブルバッテリー大手の「ECOFLOW」の3社が共同で、限定100セットを市販し、最大1年間の実証実験を行うことが発表された。
仕組みとしてはこうだ。Yanekaraが開発するクラウドサービス「YanePort」が、日本卸売電力取引所(JEPX)のデータを参照する。独自アルゴリズムにより、電力が「安い」と判断されれば、契約済みのECOFLOW「DELTA 2」に対して充電するようコマンドを投げる。「普通」の場合はパススルーで電気を右から左へ流し、「高い」場合は系統電力からの給電をカットしてバッテリー出力に切り替える。電力契約は「Looopでんき」が担当する。これにより、年間数千円の電気代節約が期待できるという。
この実証実験は、電気代をお得にできるか、というシンプルな話ではない。現在横たわる電力問題に対する、さまざまなソリューションが含まれている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
小寺信良のIT大作戦
ベテランのテクノロジーライターである小寺信良さんがIT分野全般にわたって考察する。
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
日本人の大腸がん、約半数に“腸内細菌の毒素”が関与 40歳以下の発症は7割 東大・阪大が200人を全ゲノム解析
-
2
MicrosoftのナデラCEO、「SIモデルは“内部リスク”として扱うべき」とXに投稿 統制はモデルの外に置くよう提言
-
3
AnthropicのAI、未解決殺人事件で警察に虚偽の情報提供 米政権は「通知と是正は義務」と警告
-
4
初めての一眼にフルサイズを選びたい、でも高くて重いのは嫌……「EOS R8 Mark II」はそういう人のためのミラーレスだった
-
5
「お前たちのクラウドはわれわれのもの」 IDCFクラウドの管理画面に出た攻撃者のメッセージ 内容に運営元は
-
6
「コミューン」不正アクセスでLINEヤフー、Sansan、パナソニックでも会員情報漏えいの可能性
-
7
はてな、11億円流出の調査報告書を公開 偽警察、口外禁止、残業・休出200時間超、孤立……ほころびが連鎖
-
8
YouTube、収益化基準を2027年に大幅引き上げへ 新規参加条件が従来の2倍に
-
9
Amazon、「Fire」に代わる新タブレット「Amazon Alexa Tablet」発表 「Amazonキッズタブレット」は日本でも発売へ
-
10
過激コスチュームが話題、スマホゲー「ブラウンダスト2」 一部デザインの修正を発表→やっぱり撤回 「勇気が足りなかった」
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR