分かりにくいけれど面白いモノたち
「文学フリマ」の盛況を支える“KDP出版”とは? リスクを抑えながら自費出版する仕組みと楽しみ(6/7 ページ)
SNSも、重要な宣伝ツールになる。多分、WebカタログやSNSがなかったら、筆者のような無名のブースには、通りすがりの方か、友人知人以外は来てもらえなかったと思う。
本を作る過程でのデジタル化と、本を売る過程でのインターネットという、デジタルのツールが揃ったところに、「文学フリマ」という、コミケほどには大規模ではない、その分、参加しやすい本作りのお祭りがあったというのが現在なのだろう。
SNSでいえば、今回筆者は「Books and Bites 本を読んだら食べたくなって」という本を作ったのだけど、その中に「アップルパイにはチーズがなければならない」といったことがアメリカの小説に書かれていたという話を書いている。
ただ、これがどの小説で読んだのか思い出せず、いくつかの小説に同じような文章で出てきたことだけは覚えていたので、そのことをSNSに投稿した。すると、すぐに答えが見つかり、さらに面白い付属情報まで出てきたので、それをまた投稿したら、ちょっとバズった。
なので、こういう話が入った本を文学フリマで売りますという投稿をしたら、「あのアップルパイの話が入った本ですよね」と言って、買っていってくれた方が数名いたのだ。そんなこともあるのが、今の自主出版事情だったりする。
SNSで話題になった本をAmazonで探すのも、文学フリマで見つけるのも、スマホの操作自体はほとんど同じで、あとは、自分のアンテナをどこに伸ばすかという問題で、本屋には売っていない本にも面白い本が沢山あるらしいというのも、ネットの普及が生んだ新しいマーケットだ。
さらに、文学フリマ前後に、自分の本を売るためのサービスが充実してきたのも、本を作るというハードルをかなり下げている。筆者も、DMによる直販以外に「BOOTH」と「BASE」の通販サービスを利用している。特に、PDFファイルを販売できるBOOTHは、自主出版をするものにとって、とてもありがたい。
昔風に言うところの版下は、PDFで作るのだから、少しの変更で、紙の本をデジタル化したのと同じPDF版の本は簡単に作れる。紙ではコスト的に難しいため白黒写真を掲載しているページをカラー写真に差し替えることもできる。そうやって、付加価値を付けつつ、PDFファイルを紙より少し安価で販売することで、本のプロモーションにもなるし、筆者のような老眼の人にも本を届けることができるわけだ。
しかも、紙の本と同じレイアウト、書体で読んでもらえる。モノとしての紙の本に価値を持たせたい自主出版のレーベル的には、プラットフォームやリーダーを選ぶ、フロー型の電子書籍よりもPDFで読んで貰う方が紙の本との一貫性がある。
本を印刷する前に、PDF版を買ってもらえると、採算が早く取れることにつながるし、どれくらい読者がいるのかの事前調査にもなる。文学フリマ以降は、在庫を引き続き販売できるというのもメリットだ。文学フリマで買ってくれた人が、SNSに感想を上げてくれることで、通販が動くことは当たり前にある。ありがたい話だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
分かりにくいけれど面白いモノたち
ITから文房具まで幅広く活躍するベテランライター、納富廉邦さんが言語化しづらいけど面白いガジェットやサービスを分かりやすく解説します。
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
日本人の大腸がん、約半数に“腸内細菌の毒素”が関与 40歳以下の発症は7割 東大・阪大が200人を全ゲノム解析
-
2
「コミューン」不正アクセスでLINEヤフー、Sansan、パナソニックでも会員情報漏えいの可能性
-
3
「お前たちのクラウドはわれわれのもの」 IDCFクラウドの管理画面に出た攻撃者のメッセージ 内容に運営元は
-
4
履歴書100通に1通「AIだけが読める文字」 20万件調査でわかった“就活ハック”の手口 米研究
-
5
農水省の“クソダサ”ポスター話題 「AIよりよっぽど良い」の声も 担当者に狙いを聞いた
-
6
新作映画「バイオハザード」公開で原作ゲームも大盛り上がり? 劇場でマンガ家が頷いた、その理由とは
-
7
山中で遭難の16歳少年、登山計画に生成AI「Claude」利用 救助隊は「ルートの妄信」警鐘
-
8
JR東日本、「えきねっと」「ビューカード」などで漏えいか メルアドなど最大609万件 IDCFへの不正アクセスで【追記あり】
-
9
OpenAI、安全性研究者3人を解雇 本人らは「安全性を優先したため」と主張、同社は「機密情報の扱いに関する規定違反」と説明
-
10
SBI証券、Google・Appleパスキー乗っ取り被害「確認されていない」 注意喚起は他社事案
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR