漫画「常人仮面」の配信停止巡り、小学館が謝罪 逮捕歴ありの原作者を名義変え起用 性加害の告発で物議に
小学館は2月27日、漫画配信アプリ「マンガワン」のサービス上で、漫画「常人仮面」の配信停止理由について声明を発表した。同作の原作者である一路一氏の起用判断と、確認体制に問題があったため、漫画の配信と単行本の出荷を停止した。
一路一氏はかつて、漫画「堕天作戦」の原作者として「山本章一」の名義で活動していた。しかし同氏は2020年、逮捕・略式起訴され罰金刑を受けたため、堕天作戦は連載中止となった。その後22年にマンガワン編集部は、名義を山本章一から一路一へと変え、常人仮面の連載を始めていた。
そんな中、26年2月24日ごろにX上で、ある性的被害に関する訴訟に関して告発する投稿があった。この事件は「北海道の私立高校の講師をしていた男性が、当時生徒だった女性に性加害を加えた」というもの。この事件の被告が、山本章一氏だったと指摘し、物議を醸していた。
一方、常人仮面は最終巻11~12巻を26年2月19日に発売していたが、山本章一氏への告発投稿と同じころに「漫画の配信や単行本の出荷が停止している」と訴える声が、SNSなどで相次いでいた。
この一連の流れについて、小学館は「一路一氏は、『堕天作戦』の作者である山本章一氏と同一人物です」と認めた。続けて「本来であれば原作者として起用すべきではありませんでした。何よりも被害に遭われた方に対し、心よりお詫び申し上げます。編集部として責任を重く受け止めております」と謝罪している。
常人仮面の作画を担当していた、鶴吉繪理氏も自身のXアカウント(@turu_yosi)で声明を発表。事態を謝罪し「山本氏の件は、事前に何も知らされておらず、報道やSNSを通じて初めて知った」などと説明している。
小学館編集者も和解協議に参加
またXの告発では、訴訟の協議資料と思われる画像も投稿。それによると「小学館マンガワン編集部の成田を交えて、LINEグループでこの紛争の和解条件を協議した。成田は公正証書の作成を提案し『被告は原告に対して、証書作成後1営業日以内に示談金150万円を支払うこと』『被告の漫画連載を再開することについて、原告側はその中止要求を撤回すること』などの内容にまとめた」という。
これに対して原告は、漫画連載再開の際には、休載理由が被告の逮捕であったことを公表する条件の追加を求めたが、被告はこれを拒否したとしている。
小学館はこれについて「和解協議については、編集部が組織として関与する意図はありませんでしたが、当事者双方からの求めに応じる形で編集者がメッセージアプリのグループに参加したことがありました」と協議への参加を認めた。
「参加以前に既に当事者間で協議されていた条件があり、編集者は、当事者に対し、弁護士を委任して公正証書を作成してもらうよう助言をしております。当該事案の重大性に対する編集部としての認識および情報把握が十分であったとはいえず、不適切な対応でした」(小学館)
小学館は声明で「再発防止に取り組む」とまとめているが、具体的な内容は明らかにしていない。
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